あおり運転に罰則 違反歴ある75歳以上に実車試験 道交法改正案を閣議決定

政府は3月3日、高齢ドライバーへの実車試験の新設や「あおり運転」の厳罰化を柱とする道路交通法改正案を閣議決定した。運転免許更新時に実車試験を義務づける対象は一定の違反歴がある75歳以上とした。また、あおり運転を法律に初めて規定し、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」とする罰則を設ける。
法案が通常国会で成立すれば、高齢者への実車試験は2022年にも導入され、あおり運転の厳罰化は今年夏前にも始まる。警察庁は重大事故が相次ぐ高齢ドライバー対策として、実車試験の導入方針を明らかにしていた。対象年齢の区切りを「80歳以上」とすることも検討したが、認知機能検査の対象年齢に合わせて「75歳以上」とした。年代別の事故率も考慮した。
法案は、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに免許更新時の実車試験を義務づける。違反歴は、大幅な速度超過や信号無視などを想定する。試験で技能が不十分とされれば更新できないが、免許更新期間の満了日前6カ月
内なら繰り返し受けられるようにする。法改正に伴い、70歳以上に行っている高齢者講習の実車指導でも運転技能を評価し、結果を本人に通知する制度を始める。免許取り消しにはつながらないが、技能を自覚してもらう狙いがある。
自動ブレーキなどが付いた安全運転サポート車(サポカー)に限って運転できる「サポカー限定免許」も新たに創設される。サポカーの定義は今後定める。

引用:https://mainichi.jp/articles/20200303/k00/00m/040/019000c

─ YODOQの見方───────────────────────────

近年、あおり運転だけでなく高齢ドライバーによる交通事故や交通違反も増加しています。加齢による運動機能の低下に加え、判断力や認知機能の低下が事故につながっているとも言われています。今回の法改正で75歳以上の高齢ドライバーに実車試験が導入されますが、教習所での実車指導の際に同乗する教官の負荷軽減に貢献するシステムも開発されています。
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社と近畿大学がドライバー安全運転管理サービス「DriveKarte(ドライブカルテ)」を活用した高齢ドライバーの運転技能向上を促すリアルタイム運転技能診断システムを共同開発し実証実験を開始しています。
車両に取り付けた「DriveKarte」のカメラや「ドライバー見守り車載センサー」から出力されるドライバーの画像、位置情報、加速度、急発進などの行動や情報を組み合わせて自動で運転技能評価を行い、リアルタイムで音声にて危険運転を通知するシステムで人による指導と機械による客観的な判定による指導で高齢ドライバーへの指導力の向上が期待されています。
また、3月9日から申請受付が開始されている「サポカー補助金」は、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い急発進等抑制装置が搭載された安全運転サポート車や後付装置を満65歳以上の高齢者が購入する場合に利用可能な補助金です。こういったシステムやサポートカー等を利用することで高齢ドライバーによる交通事故や違反が減少していけば喜ばしいことだと思います。
しかしながら、高齢ドライバーの中には移動手段が自家用車しかなく、生活していくうえで車を運転することが必要不可欠で、運転技能に不安があっても免許を返納できない方もいます。そういった方が今回の法改正で免許を更新できなくなっても生活に困らないような社会の仕組みづくりも必要になってくると思います。公共交通機関が不十分な地域で移動支援を行っているNPO法人もありますが、そういった団体のドライバー自身も高齢者である場合もあり、資金面だけでなく人材の確保にも何らかの支援が必要ではないかと思います。

参考:https://www.omron.co.jp/press/2020/02/c0213.html

参考:https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303005/20200303005.html