「巣ごもり需要」でハム3社増益 加工食品が好調、日本ハムは減益

ハム大手4社の2020年3月期連結決算が20日、出そろった。
新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり需要」で加工食品の売れ行きが好調で、伊藤ハム米久ホールディングス(HD)、プリマハム、丸大食品の3社が増益を確保した。

最大手の日本ハムは主力ウインナー「シャウエッセン」の販売は好調だったが、早期退職の募集にかかる特別加算金として84億円を計上し、純利益が1.8%減の192億円だった。直近では業務用食肉の販売も苦戦した。

引用:<ヤフーニュース>
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200520-00000150-kyodonews-bus_all

─ YODOQの見方───────────────────────────

冷凍食品と加工食品の好調を数字でもう少し深掘りしてみました。

1.冷凍食品
2020年4月の家庭用冷凍食品の動向(対象:全国のスーパー・生協1,030店舗)で、販売金額は前年同月比19.5%増と大幅に伸長しました。
理由としてはテレワークの広がりや学校や幼稚園・保育所の一斉休校などで一食完結型の商品の売り上げが増えていることです。
メーカーは製造品目を絞るなどして、売れ筋商品の供給を安定化させているとのこと。

カテゴリ別でみると、前年比の伸び率が高いのは冷凍麺の32.4%増で、次いで冷凍農産の29.8%増、冷凍米飯は22.1%増といずれも20%以上の伸び率となっています。最も伸び率の低い調理冷食で11.3%増となっており、需要は非常に高い状態。販売個数も全体で同13.7%増となりました。
また、特売等のセールでの人集めをしていないことが影響したのか、価格も5.1%増となっているようです。

2.加工食品
2020年第14週(4月6日~12日)の加工食品(対象:全国のスーパー・生協1,030店舗)全カテゴリー合計の売上高は、前年同期比21.0%増。
加工食品がこの期間でそれだけ伸びたのは、緊急事態宣言を受けての買いだめ的な購買行動が一要因であるようです。
加工食品の伸び率の高い順に、プレミックス111.5%増、スパゲッティ101.1%増、ホイップクリーム87.9%増、包装餅82.7%増、小麦粉79.9%増、ソースミックス79.2%増、畜産缶詰76.9%増、その他ホームメイキング材料73.6%増、乾麺64.1%増、インスタント袋麺64.0%増、生地・皮54.8%増、調理済みカレー54.2%増、蜂蜜53.4%増、お茶漬の素52.5%増、バター50.8%増という順になっています。
確かにスーパーでスパゲッティ、ホットケーキミックス、たこ焼き粉などの売り切れ状態が続いているのを目の当たりにしました。

冷凍食品や加工食品については台風や地震などのインフラ被害では、冷凍・冷蔵保存が出来なくなるので大きな影響を受ける事が多いのですが、インフラの被害がない、ウイルスによるパンデミック被害では非常に活躍する食品となりました。

この売上好調なタイミングで、守りに入るのか、攻めに転じるのかで今回、ハム4社の対応も異なったようで決算に数字として表れました。
日本ハムは早期退職を募り、将来的な不安を取り除く事を優先し、伊藤ハムなどは時短調理が出来る調理加工品などに力を入れ、前年より売上を大きく伸ばしていたりと、力の入れどころが異なります。

業績が悪い時の経営側の舵取りはもちろんですが、好調な時の舵取りは、この先の経営に大きな影響を与えるので、どこまでの将来を見越した戦略をとるのか、またどこまでのリスクを背負うのかが非常に難しいところで、今回の新型コロナウイルス感染拡大が始まりだした頃に現在のような状況をどこまで描けたかというとおそらく想定外だと答える人が多いと思います。

良いか悪いかは別として、今回のコロナウイルスの影響によって、経営者は最悪のケースも今まで以上に考えるようになったので、判断が慎重になる反面、判断のスピードが鈍ってくると思われます。

そんな中で素早く動ける会社かつ、直ぐに軌道修正出来る会社、つまり小回りが利く会社がこの先も生き残っていけるのではないかと思います。

参考:<食品産業新聞社ニュース>
https://www.ssnp.co.jp/news/frozen/2020/05/2020-0508-1528-14.html

https://www.ssnp.co.jp/news/frozen/2020/04/2020-0421-1515-14.html