資生堂一部事業をファンドに売却

資生堂は3日、「ツバキ(TSUBAKI)」「専科(SENKA)」「ウーノ(UNO)」などマス市場を中心に展開する低価格帯化粧品を扱うパーソナルケア事業を、投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズ(CVC Capital Partners以下、CVC)に売却すると発表した。
売却額は1600億円。資生堂はCVCが手掛ける同事業に35%を出資する形で経営に関わる。

引用:WWD 資生堂がパーソナルケア事業を投資ファンドに売却 新会社の株主として参画
参考:日本経済新聞 3/29朝刊 資生堂、日用品売却の必然 ブランド経営迷走で原点へ

─ YODOQの見方───────────────────────────

資生堂はもうすぐ創業150年を迎え、テレビCMなどを通じて日本人なら誰もが知っている会社だと言えると思います。
化粧品の売上は日本で1位、世界でも5位につけています。

ドラッグストアや量販店に並ぶパーソナルケア事業は、成功すれば知名度を上げて広く大衆に浸透することができます。
そのぶん競合が多く、新製品をリリースして膨大な費用を投入し続けなければ生き残れない熾烈な競争があります。

資生堂のサイトで、企業理念を確認すると以下のような記述があります。
「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーを目指します」

大衆(マス)向けの商品は「世界で勝てる」対象からは外し、百貨店で販売されるような高級ブランドに経営資源を投入する道を選ぶようです。

発売当初(2006年)の華々しいTVCMをはじめ、プロモーションに50億円を投じたそうです。
当時のドラッグストアには「高級シャンプー」コーナーができ、注目を集めていたと記憶しています。
一般消費者としては、競合他社がライバル製品を投入する中でもツバキは存在感を保ち続け、生き残って定着浸透した商品というイメージを持っています。
見方を変えると、これら「高級シャンプー」は発売された時点がブランド価値が最も高く、ドラッグストアに置かれた時点で、後は競争と価値低下に如何に抗うかという運命をたどっていたのだと言えそうです。

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■備考

選択と集中とは?意味と実例からみる経営戦略の考え方
FUNDBOOKよくわかるM&A

ドラッカーが提唱し、ジャック・ウェルチがGEの経営を推進する際に広めたと言われる。
現資生堂の社長である魚住氏はライオンやコカ・コーラの社長を勤めた「プロ経営者」と呼ばれる人物で、過去のしがらみに囚われない合理的な経営選択を行い易いとみられる。