ベソス兄弟との宇宙旅行オークション、2800万ドルで落札

米Amazon.com創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙企業Blue Originは6月12日(現地時間)、7月20日(アポロ11号が1969年に月面着陸した日)に予定している宇宙船「New Shepard」による初の有人飛行の座席オークションを開催し、2800万ドル(約31億円)で落札されたと発表した。
5月6日に告知されたオークションには159カ国から約7600人が入札した。落札金は、Blue Originが子供たちにSTEMでのキャリア追求を支援するために設立した非営利団体「Club for the Future」に寄付される。

米国で初めて宇宙飛行に成功したアラン・シェパード氏にちなんだ名称のNew Shepardは、高さ約18mの再利用可能なロケット。カプセル状で6つの座席が設置され、各座席の広い窓から宇宙を眺められる。パイロットの席はなく、自律飛行する。

引用:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/13/news018.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

1.今回の宇宙旅行の詳細

~搭乗者の条件~
ブルーオリジンの発射塔(約7階分の階段)を90秒で駆け上がることができ、宇宙服を着られることが条件。
飛行前の診断は義務付けておらず、体力に不安がある場合はかかりつけの医師に相談することになっている。
訓練は2~3日かけて実施され、パイロットとのセッションや無重力状態に関する説明、キャビンの実物大の模型に乗る体験などが含まれている。

今回の宇宙旅行では最低限のトレーニングしか必要とされていない。その理由として「完全自立型のニューシェパードで宇宙に旅立つための安全機能や準備に慣れるためのものだ」とブルーオリジンの広報担当者は述べている。

~内容~
今回の宇宙旅行は、高度100kmの「カーマンライン」と呼ばれる国際航空連盟が定めた宇宙空間と大気圏を分ける仮想の境界線を超えた後、打ち上げから10分後に地上にパラシュートで帰還する予定。

2.民間宇宙旅行の現状と課題

現状実現可能な宇宙旅行は高度100kmのカーマンラインを超えることを目的としているものが多い。
その理由は、この高度に達した人工物および人間が宇宙飛行を行ったと認定されるから。

課題として挙げられるのは、宇宙船開発とその安全性確保・関連法規の整備・投資家の存在・打ち上げを行う宇宙港の建設などで、中でも安全性の確保が重要である。
日本でもクラブツーリズムが2005年からヴァージンギャラクティック社(宇宙旅行ビジネスを行う会社)と独占契約し、宇宙旅行を提供する計画を立てているが(2021年以降運航開始)、同社が2014年に出していたレポートでは、安全面の課題として予約者の平均年齢が60歳を超えており、シニア層ゆえに一部健康面で不安を抱えている人もいるということを挙げている。ただ参加費が高額で推移し、富はどうしてもシニア層に偏りがちなため、シニア層の健康に与える影響を重点的に考えていく必要がある。ここの安全性を担保しないと収益化にも繋がらない。

今のところ民間航空機に関する連邦政府の綿密な安全規制は宇宙旅行客に適応されていないため、今回の宇宙旅行参加者は事故が起こった場合にはベソス氏のブルーオリジンを訴える権利を放棄する書類に署名しなければならない。

参考:ベゾス氏の宇宙旅行、搭乗はリスク覚悟の自己責任
参考:民間宇宙旅行マーケットの可能性と諸課題