万博への地下鉄は自動運転、改札は顔認証で「ゲートレス」に…Osaka Metroの中期経営計画

大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は4月19日、2025年度にかけての中期経営計画を発表した。

2018年4月に大阪市交通局から民営化されて1年が経過したが、2018年度の事業を省みると、10年後の柱となる新規事業や成長戦略は依然構想段階で「自主自立の経営の確立は道半ば」としている。

そこで、万国博覧会が夢洲で開催される2025年度までには、「先進的な交通サービスや次世代の都市生活サービスをお客さまに提供することを目指す」として、全駅にホームドアの設置を行なうとともに、セキュリティカメラを2021年度までには主要な駅に増設、2025年度までには御堂筋線や中央線の全列車にも設置するとしている。

また、地下鉄の自動運転化にも取り組み、2024年度には中央線 阿波座~夢州新駅間で実証実験を行なうとしている。

サービス面では鉄道のチケットレス化を推進し、事前に顔写真を登録しておけば、切符やICカード乗車券などを使わずに改札を通過できる機能を2024年度までに全駅で実現するとしており、将来的な「ゲートレス」を目指して2019年度にはその実証実験を開始する。

引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190422-00000031-rps-bus_all

─ YODOQの見方───────────────────────────

Osaka Metroの発表を少し深掘りしてみました。
■ 2018年度の総括
(1)成果
・安全・安心な運行を更に徹底強化

「全社的に安全意識の向上に取り組み、地震・台風などの自然災害時での迅速な対応を含め、年間を通じて安定した運行に努めました。
また、お客様サービス向上にも、鋭意取り組みました。」

とのこと。
鉄道・バスについて詳細を調べてみると下記のとおりでした。

【鉄道事業】
 売上は、計画1,585億円に対し、実績1,595億円で目標達成。
 効率化による人件費削減で営業利益は計画比+52億円の386億円。
 主な取り組み
  ・可動式ホーム柵の設置拡大
  ・駅の防犯カメラの増設
   →G20までに14駅29台増設
  ・駅のリニューアル
   →2019年度に中津駅のリニューアルが完成予定
  ・利便性の向上
   →2019年度に「AR乗り換え案内アプリ」を提供
  ・海外新線開発支援
   →ベトナム、インドにエンジニアを派遣

【バス事業】
 売上は、計画132億円に対し、実績132億円。
 効率化による人件費削減で営業利益は計画比+10億円の21億円。
 主な取り組み
 ・運行サービスの拡充に着手
  →2019年度に黒字路線3系統で増便
 ・新規事業の立ち上げ
  →2019年度に空港リムジンバスを運行開始予定
 ・運転手の採用方法の工夫
  →二種免許の取得費用を負担する制度を導入

(2)課題

・自主自立の経営の確立は道半ば
新規事業開発や成長戦略は構想段階から抜け出せておらず、活力インフラ構想についても、事業化に向けた具体的な検討を始めた段階。

■ 2025年度に目指す姿・事業ポートフォリオ
(1)生活まちづくり企業として2025年度に目指す姿
グループ共通の顧客基盤を構築し、先進的な交通サービスや次世代の都市生活サービスをお客さまに提供することを目指す。
・チケットレス
・セキュリティ強化
・駅機能強化
・デザイン強化
・デマンド型交通(オンデマンドバス)
・新しい交通(地下鉄・バスの自動運転化に向けた準備)
・次世代決済
など

(2)実現したい事業成長メカニズム

お客様の生活に密着した各種アプリを提供し、そのデータベースとなるお客様の個々のニーズに応じた様々な情報を発信していくと共に、スマートフォンによる改札や決済に留まらず、顔認証によるセキュリティ強化、ゲートレス改札といった次世代の駅改札口や次世代型決済も展開する。

(3)2025年度に目指す事業ポートフォリオ

デジタルマーケティングプラットフォームを活用し、既存事業の成長を図ると共に、収益貢献には時間がかかるものの、デマンド型交通や新たなマーケティング事業といった新規事業も加えた事業ポートフォリオを目指します。
交通事業とシナジーを生むよう、沿線の商業施設やオフィスビル、ホテル、エンターテイメントからなる次世代都市開発は、大きな収益貢献を目指します。
また、地域ごとのお客様へのよりきめ細かいニーズに応えるため、新たに、デマンド型バスサービスに取り組み、固定的な地域交通サービスのあり方を変革していきます。

(4)2018-2025年度 中期経営計画の追加・拡充点
1.万博に向けて、2025年度までに国内最高の安全・安心を実現すること
2.駅の利便性・快適性のさらなる向上
3.マス向けの交通事業者から、個人に寄り添う企業へと進化すること
4.万博を契機に、最先端技術を取り込み大阪のインフラを進化させること
5.デジタルマーケティングプラットフォーム事業の構築
6.交通に次ぐ新たな柱となる事業創出への挑戦
7.グループの成長に必要な人材育成・組織づくり
8.広告・駅ナカ・地下街事業の強化
9.新たな事業展開を支えるための財務基盤の強化

■まとめ
個人的な意見ですが民営化(Osaka Metro)して、1年が過ぎましたが人件費の削減も含めて、大きく変わってきたように思います。
また、2025年の万博が決まったことで大きな目標をそこにおき、様々な取り組みが行われようとしていることが今回よくわかりました。
関西は私鉄が強く、JRやOsaka Metroには古い体質のイメージが以前はありましたが、各社の競争が激化し、関西の生活インフラが更に発展することを願います。

参考:Osaka Metro
https://www.osakametro.co.jp/company/page/20190419_cyuki_keiei_keikaku.php

参考:Osaka Metro 中長期経営計画
https://subway.osakametro.co.jp/news/2018_2025_cyukikeieikeikaku.pdf?_ga=2.182121763.549510417.1555929613-421375071.1555929613