厚底シューズで世界陸連が新規則発表 ナイキ現行モデルは可“2時間切り”靴は規制に

陸上長距離界で男女マラソンの世界記録更新など好タイムが続出している米スポーツ用品大手ナイキの「厚底」靴「ヴェイパーフライ(VF)」の規制を巡り混乱する中、世界陸連は31日、シューズに関する規則の修正を発表した。
新ルールでは靴に関して、20年4月30日以降は、レースの4カ月前からオンライン、または店頭で購入できること(医学的理由などでカスタマイズされたものは許可される)が決められた。また、ソールの厚さは40ミリ以下、複数の剛性の埋め込みプレートは使用できないなどの要件を満たさない靴は無期限停止となる。
現状のナイキのVFは、ソールの厚さが最大で37ミリ、反発を生むカーボンファイバーは1枚のため“合法”に。昨年10月に男子の世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が非公式レースで、人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒を出した際に履いていたプロトタイプ「アルファフライ」については、カーボンプレートが3枚使用されており、規制される見込みとなった。

引用:世界陸連の発表 2020/02/02

─ YODOQの見方───────────────────────────

この記事から思い出したのが、かつて起きたレーザー・レーサーというスイムウェア問題です。レーザー・レーサーとはなにかと言うと、イギリスのSPEEDO社が開発した競泳用水着である。2008年に入り、この水着を着用した選手が次々と世界記録を連発した。NASAが開発に関わっていて、縫い目が無いのが特徴で抵抗が軽減され、撥水性にも優れる。生地を特殊な超音波を使って接着するため、一日に生産できるのは数十着と言われている。また、水着表面の一部にLZR Panels(ポリウレタン素材)が接着してあり、締め付け力が非常に高く、体の筋肉の凹凸を減らす効果を持つ。
これに対して、国際水泳連盟は、2010年より水着素材を布地のみに制限するルールを決め、実質的にレーザーレーサーは規制されました。

これらから読み解いたのは、
・過去にこういうことがありながら、陸上については規制がなかったことに驚きました。調べてみたのですが陸上競技のロードレースについては規制がなかったようです。
・現代のようにテクノロジーの進化した時代では、僅かな差を競うシンプルな競技ほど、そのテクノロジーの影響を受けやすいのだろうと思います。そして、これから先もテクノロジーと規制のいたちごっこは続いて行くのだろうと思いました。

今回の世界陸連の規制で、これは分かりやすいと思ったのは「レースの4カ月前から購入できるもの」という点です。これによって常に一定の公平性は保てるのではないでしょうか。
古くから、モータースポーツの世界においてはよく似た規制が設けられています。ツーリングカーレースというカテゴリにおいて、過去の車両、あるいは何台以上量産された車両をベースとする、という規制が長く用いられてきました。
とはいえ、テクノロジーの進化による、いかにしてスキをつくか、それをいかにして規制していくかというレースは今後も目が離せないと思います。

参考:レーザー・レーサー Wikipedia