さくら

「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」

さくら

今年の桜もそろそろ終わりですね。
日ごろ何の変哲もなかった木がある日突然咲き乱れて、
この木は桜だったんだなと気付く事があります。

一年前、桜の花が散ったその瞬間から、春夏秋冬を越えて
また今年も巡って来る…とても不思議な感じがします。

温かい春が近付くといつも思い出す言葉があります。

『人が土に種を蒔いて、夜は寝て、朝は起き、そうこうしているうちに、
種は芽を出して育ちます。どのようにしてか、人は知りません。
地は人手によらず実をならせるもので、初めに苗、次に穂、
次に穂の中に実がはいります。』

初めの句にあるように、美しい桜の姿を目にすると、ずっと
咲き続けてほしい。散らないでいてほしいと思うものだと思います。

でも一方で、散ってしまった後も桜の成長が止まった訳では
ないことを思わされます。
桜が一年に一度咲く事は、桜の永くある一生の、一時の過程に
すぎないのかもしれません。
重ね重ねて人知れず徳を積むのだろうと思います。

それぞれが、それぞれの過程の中で、どういうわけか
巡り合う事に感謝しつつ、これからも頑張りたいです。