コロナで在宅勤務、脱ハンコに拍車か 業界守る動きも

書面に押印を求める日本の「ハンコ文化」が企業の在宅勤務(テレワーク)を阻んでいる。押印のためだけに出社することを減らそうと、政府はオンラインで契約などができる電子システムをつくる方針だ。コロナ禍をきっかけに脱ハンコが進みそうだ。
安倍晋三首相は4月22日、政府のIT総合戦略本部の会合で「民間の経済活動で紙や押印を前提とした業務慣行を改めるよう、全面的に点検してほしい」と閣僚らに指示した。緊急事態宣言後も「やむなく出社」が続く理由の一つとして、ハンコの存在があるためだ。

引用:https://www.asahi.com/articles/ASN4R6SK5N4RULZU00N.html?iref=pc_rellink_01

─ YODOQの見方───────────────────────────

日本の「ハンコ文化」は大化の改新後、大宝律令の制定ととも官印が導入されてから本格的に始まったと言われていますが、次第に簡略化され平安時代後期から鎌倉時代にかけて花押にとって代わられました。
その後、時代の流れでハンコの重要性は変化していきましたが、明治6年の太政官布告で本人が自書できない場合は代筆を認める代りに実印を押すことを定められたため現在のように記名押印すればこと足りるという習慣が確立しました。
署名捺印には、その書類を本人の意思で確認しているかどか、その意志が表明されているかどうかという意味があるとされています。そのため、行政手続きだけでなく企業間の契約や個人と企業の契約にも押印が必要とされています。
押印が間違いなく本人からの意思確認と意思表明を意味するものであるということであれば、オンラインでの契約であったとしてもデジタル署名を用いることで作成者と改ざんされていないことが証明できるので、ハンコは必要ないのではないかと考えられます。
ただ、オンラインでの手続きを進めるためには双方向での準備が必要です。社内の文書であれば、社内のシステムを作るだけでオンライン化は実現できますが、取引先や書類の提出先である機関がオンラインに対応できなければ紙での発行や押印も必要になってきます。
そうした状況を改善していくため、民間取引の脱ハンコに向けた議論を政府が進めていますが、行政の手続き自体が全てオンライン化できているとは言えず、各省庁で申請の書式や取扱いのルールが違い、電子システムも統一されていない現状では民間の手続きでオンライン化を進めるのも難しいと思われます。
請求書や注文書には押印が必要とされている商習慣に対応するものとして、登録した社印で書類が発行できるシステムや電子印鑑などのサービスもあります。このようなサービスが存在していること自体、現在のハンコの必要性を物語るものではないかと思います。例えオンライン化が進んで紙への押印という形が少なくなるとしても、ハンコ文化が廃れてしまうことはないのではないでしょうか。

参考:https://xn--wlr53q.net/denshi-inkan_make.html