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ファンクションポイント法によるシステム開発の見積もり業務をイメージしたデスクの写真

ファンクションポイント法のメリット・デメリットと見積もり方法を解説

システム開発の見積もりを出すとき、「なぜこの規模になるのか」を説得力のある根拠で説明できていますか?本記事ではそのために役立つ手法のひとつ、FP法(ファンクションポイント法)を取り上げます。エンジニアの方はもちろん、これから発注を検討される方にもわかるよう、できるだけ噛み砕いて解説していきます。 本記事のポイント FP法(ファンクションポイント法)は、機能の数と複雑さからシステム開発の規模を算出する国際標準の見積もり手法 言語や技術に依存せず客観性が高いが、習得には学習と経験が必要 業務システム・Webアプリの開発に向き、リアルタイム制御や組込みには不向き 計測は5ステップ:範囲決定 → データ機能 → 処理機能 → UFP算出 → 調整係数で最終値 発注側は「計測範囲」「数え方」「換算根拠」の3点を確認すると見積もりの精度が判断しやすい FP法(ファンクションポイント法)とは FP法とは、機能の数と複雑さからシステムの開発規模を測る、国際的な見積もり手法です。プログラムの行数を数えるのではなく、画面・帳票・データといった「ユーザーから見える機能」をひとつずつカウントし、それぞれの複雑度に応じて点数(ファンクションポイント)を付けていく──そんなアプローチを取ります。 特徴は、開発言語や技術環境を問わないことで、JavaでもPHPでも、クラウドでもオンプレでも、同じ尺度で評価できます。だからこそ、システム開発の見積もり根拠をクリアにしたい場面で重宝されています。 FP法(ファンクションポイント法)が生まれた背景 FP法は、1979年にアメリカのIBM社のAllan J. Albrecht(アラン・アルブレヒト)氏によって考案されました。 それまで開発規模を測る物差しといえば、プログラムの行数(LOC:Line of Code)でしたが、この方法には弱点がありました。言語によって行数が大きく変わることや、コードが完成するまで正確な数値がわからないという点です。そのため、発注する側にとっては、見積もりの根拠がどうしてもブラックボックスになりがちでした。 そこでアルブレヒトが打ち出したのが、「ユーザーから見える機能を数える」というシンプルな発想でした。言語にも技術にも依存しない、一貫した尺度──それがFP法のはじまりです。1986年には国際組織IFPUGが立ち上がり、いまではISO/IECの国際規格にもなっています。 実際の現場でも、要件定義の段階でFP法による概算が出せていると、その後のスコープ調整や追加見積もりの議論がスムーズに進みます。 なぜシステム開発の現場でFP法(ファンクションポイント法)が使われるのか 業務システムやWebアプリケーションのシステム開発では、見積もりの段階でプロジェクト全体の規模と工数が見えているかどうかが、その後の進行を大きく左右します。FP法が多くの現場で選ばれているのは、この「規模の見える化」を高い精度で実現できるからです。 強みは大きく2つあります。まずひとつめは、開発に着手する前から見積もりが立てられること。要件定義の段階で機能数が見えれば、コストや期間の概算は出せます。そしてもうひとつが、客観性です。計測ルールが標準化されているため、誰が見積もっても結果は大きくぶれません。発注側と開発側が「なぜこの規模になるのか」を同じ言葉で議論できるというのは、想像以上に大きな価値があります。 こうした特性から、FP法は契約時の見積もりだけでなく、生産性の評価やプロジェクト管理の指標としても使われています。ヨドックが採用している開発手法も、こうした客観的な指標を重視しています。 FP法(ファンクションポイント法)のメリット FP法をシステム開発の見積もりに使うメリットを整理してみましょう。 言語・技術にとらわれない:JavaでもPHPでも、言語に依存することなく、同じ尺度で規模を比較できる 早期に見積もりが立てられる:要件定義の段階で概算が可能、プロジェクト初期の意思決定が楽になる 客観性・再現性が高い:誰が計測してもほぼ同じ結果になり、根拠が明白。属人化を防げるのも強み 仕様変更の影響を数値化できる:追加・変更分の機能数を数えるだけで、開発規模への影響が読み取れる 国際標準として認められている:ISO/IECにより標準化された、世界共通の物差し 発注する側にとっては、「見積もりの根拠を数値で説明してもらえる」点が、なにより大きな安心材料となります。プログラミングの専門知識がなくても、機能の数をもとに話すことで、開発内容や規模感をぐっとイメージしやすくなります。 FP法のデメリット メリットの多いFP法ですが、弱点があります。 習得のハードルが高い:ILF/EIF/EI/EO/EQなどの計測対象や複雑度判定にはルールが多く、使いこなすには学習と実践の積み重ねが必要 計測そのものに工数がかかる:機能をひとつずつカウントするため、大規模システムでは「計測作業」自体がそれなりの工数になる 得意・不得意がはっきりしている:業務系・Web系には向くが、リアルタイム制御や組込みなど、データ処理中心ではない領域には不向き 非機能要件はカバーできない:性能・セキュリティ・運用性などはFP法だけでは見積もれないため、別の方法と組み合わせる必要がある つまり、FP法は万能のツールではありません。「自分たちのプロジェクトはどのタイプか」を見極めて、適材適所で使うのがコツです。 他の見積もり手法との比較 見積もり手法はFP法だけではありません。代表的なものを並べると、こんな形になります。 手法 計測の基準 強み 弱み FP法 ユーザーから見える機能 言語非依存・客観性が高い 習得難度、計測の手間 LOC法(ステップ法) プログラムの行数 直感的でシンプル 言語依存、コード完成後にしか正確に測れない 類推見積もり 過去の類似プロジェクト 経験者がいれば素早く算出可能 主観に左右される、過去事例が必要 COCOMO 統計モデルと数式 学術的裏付けがある パラメータが多く運用が複雑 どれにも長所と短所があるので、ひとつの手法に絞り込まず、プロジェクトの規模や検討段階に応じて使い分け・組み合わせるのがおすすめです。 FP法(ファンクションポイント法)が向く案件・向かない案件 FP法は効果的な手法ではありますが、万能ではありません。得意な領域と苦手な領域を区別できるかどうかで、FP法の活かし方が変わってきます。 〇 FP法が向いているケース 販売管理、在庫管理、人事管理、会計などの業務システム 基幹システムや業務系のWebアプリケーション 画面・帳票・データベース処理がメインの開発 中規模〜大規模のシステム開発プロジェクト × FP法が向いていないケース リアルタイム制御や組込みシステム 科学技術計算など、数値計算が主体の開発 小規模・短納期で、計測コストが見合わない案件 ご自身のプロジェクトがどちらのケースに近いかを確認した上で、FP法の採用を検討してみてください。具体的にどんな開発をご検討中か知りたい方は、ヨドックの製品・サービス一覧もあわせてご覧ください。 FP法(ファンクションポイント法)の計測フロー(概要) 具体的にどう測るのか、流れだけざっくり紹介しておきます。 ① 計測の対象と範囲を決める ② 扱うデータの数を数える(ILF・EIF) ③ 画面・帳票などの処理機能を数える(EI・EO・EQ) ④ 機能ごとの点数を合計する(未調整FP値) ⑤ システム全体の難しさで補正して、最終FP値を出す 各ステップの計算方法や複雑度の判定基準など、さらに細かい解説は別記事「ファンクションポイント法の流れ」にまとめてあります。気になる方はそちらをご覧ください。 FP法(ファンクションポイント法)の具体的な計算例 具体的にどんな数字が出るのか、シンプルなシステムで見てみましょう。 たとえば「社員情報を管理する小さな業務システム」を想定。次のような機能だけ持つとします。 社員情報(マスタデータ)を保持する 社員情報を新規登録する画面 社員情報を一覧表示する画面 社員情報を検索する画面 これをFP法の計測対象に分類すると、こうなります。 分類 該当する機能 数 複雑度(仮) 点数 ILF(内部論理ファイル) 社員マスタ 1 低 7 EI(外部入力) 社員情報の登録画面 1 低 3 EO(外部出力) 社員情報の一覧表示 1 低 4 EQ(外部照会) 社員情報の検索 1 低 3 合計(未調整FP値) − − − 17 合計した未調整FP値が「17」。ここに、性能要件や運用環境を反映した調整係数を掛けて、最終FP値が出ます。仮に調整係数を1.0なら、このシステムは17ファンクションポイントとなります。 この17が、開発工数や費用を出すベース値です。実務では、ここに「1FPあたり◯時間」「◯円」という生産性係数を掛け合わせ、最終的な見積もり金額を導いていきます。 機能の数で規模を測れる──だから、発注側にも数字で根拠を示せる。FP法の強みは、まさにここにあります。 発注側がFP法(ファンクションポイント法)で確認すべき3つのポイント 開発会社からFP法ベースの見積もりを受け取ったとき、押さえておきたい確認ポイントを3つに絞って紹介します。 計測範囲(アプリケーション境界)が明確か まず聞いておきたいのは、「どこからどこまでをFP計測の対象にしているか」。境界が曖昧なまま進むと、あとから「ここも対象に入れるべきだった」という話になり、追加見積もりが発生しがちです。とくに、外部システムとの連携部分や、既存システムとの境目──このあたりは早い段階で認識を合わせておくと安心です。 機能の数え方に納得できるか 画面・帳票・データの数え方は、会社や担当者によって解釈が分かれることがあります。「なぜこの機能が3つカウントなのか」「この画面はEIなのかEQなのか」──こうした質問をぶつけると、見積もりの透明性がぐっと増します。丁寧な見積もりなら、開発会社側もきちんと答えてくれるはず。 ファンクションポイントから工数・費用への換算根拠 FP法で出るのは「規模」を表す数値です。これを「工数」「費用」に変換する段階で、「1FPあたり◯時間」「◯円」という生産性係数を使います。この係数は、開発会社の生産性や案件の難易度で変わるものです。どんな前提で算出された数字なのか──ここを確認しておくと、見積もりの妥当性も判断しやすくなります。 この3つを開発会社に投げかけるだけで、見積もりの解像度は驚くほど変わります。「なぜこの金額?」を、数字でクリアに答えてもらえる手法だからこそ──こうした問いにも、しっかり応えてくれるはずです。 FP法(ファンクションポイント法)を使いこなすために FP法を一言でまとめるなら、「システム開発の規模を、誰が見ても納得できる形で測れる手法」です。言語や技術に縛られず、発注する側と作る側が同じ言葉で見積もりを話し合える──これは、プロジェクトを進めるうえで意外と大きな違いを生みます。 エンジニアの方も、発注を検討中の方も、見積もり手法の引き出しを増やしたいときに、FP法は良い選択肢のひとつです。システム開発を検討中の方は、見積もり根拠を確認する材料として頭の片隅に置いておいてください。 ヨドックの開発・実績について知る ファンクションポイント法の流れ ヨドック式開発について 提供している製品・サービス 開発事例の紹介 技術情報一覧

北九州総合病院、AI-OCRで骨折患者データの登録時間を6分の1に短縮

社会医療法人北九州病院が運営する北九州総合病院(所在地:福岡県北九州市)は、骨折患者の臨床データを国のデータベースに登録する業務にAI-OCRを導入し、これまで最大で30分かかっていた1症例あたりの登録時間を5~6分に短縮した。医療データ登録システムの基盤となったノーコード開発ツール「kintone」を提供したサイボウズが2026年5月29日に発表した。 引用:https://it.impress.co.jp/articles/-/29407 大腿骨近位部骨折は、骨折から1年後に約1割が死亡し3割強が歩行困難に陥る重篤な疾患で、関連医療費は介護費を含めると約1兆円規模に上るという。 算定要件としてFFN-J(日本脆弱性骨折ネットワーク)が運用する臨床データベース(レジストリ)への症例登録を義務付けた。 現在、年間4万5000件超が登録されている。 この登録作業を担うのが医師事務作業補助者(医師クラーク)であるが、情報が散在していたりExcelやPDFなどのフォーマットが揃っていないものを集めたりした上で登録画面に転記する必要があり、慣れない担当者では1症例あたり最大30分かかっていた。 「データ入力の負担を減らし、データの質を高めること」を目標に、ノーコード開発ツール「kintone」(サイボウズが提供)を基盤とした医療データ登録システムを開発。2025年初頭から実証実験に取り組み、週1回のペースで改善を重ねた結果、1症例あたりの登録時間は5~6分へと短くなった。 特にデータ入力の負担軽減につながったのはAI-OCR(※1)である。電子カルテの画像から必要なデータを自動で読み取り、kintoneに入力できるようになった。画面上で画像とOCR結果を比較できるためミスも起こりにくい。入力データはそのままFFN-Jのレジストリに連携する。 ─ YODOQの見方─────────────────────────── この記事では、AIでの業務効率化の事例が紹介されています。 Excelや画像やPDFファイルなどの文字をAIを用いてテキストデータに変換し、なおかつ業務用にAIでまとめられるようになったことで、データ収集後にする作業が、確認のみになったということが読み取れます。 他にもExcelで部署間のやり取りを行っていたところをキントーンで一括管理し煩雑なデータのやり取りを解消したという事例(※2)や、Excelで行っていた原価管理をキントーンで効率化を図った(※3)という事例があります。 キントーンは広く普及しているサービスですが、AIの導入により、更にやりたいことの具体化が各企業や各個人でより簡単に正確にできるようになっていくのではないかと思います。 社内でもAI駆動開発で作業時間の短縮を推進していますが、キントーンなどのツールを使うよりも弊社がいいと選んでもらえるようにしていく必要があり、そのためにはAIのことを信用しすぎず、人間でのチェックを行うことが大事だと再認識しました。 人間の目で目視確認を行っても見逃すこともあるのため、社内でするには恥ずかしいですが口に出して読んでみることで間違いに気づいたり、複数人でダブルチェックを行ったりすることがいいのではないかと思いました。 人間のミスを減らすことで、より高品質で効率的な業務を実施していけるのではないかと思います。 ■備考 ※1 AI-OCR AI(人工知能)を活用して、画像やPDFファイル内の文字を高精度で読み取り、テキストデータに変換する技術です。従来の手作業によるデータ入力業務を大幅に削減し、業務効率化やペーパーレス化に貢献します。 参考:https://robotango.biz/knowledge/ai-ocr/ ※2 埼玉県、全庁1万3000人で「kintone」利用、Excel頼みの照会業務を効率化 参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/29371 ※3 日本エンジニアリング、原価管理をExcelからkintoneに切り替え、工期を3割短縮 参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/29344

ECサイト制作の基礎知識① - ECサイトとは?​ –

近年、インターネット上で商品やサービスを販売する「ECサイト」の需要が急速に高まっています。 企業だけでなく、個人事業主や小規模店舗でも気軽に始められるようになり、ECサイトは身近な存在となりました。 しかし、「ECサイトとは具体的に何なのか」「普通のホームページとどう違うのか」という疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。 今回は、ECサイト制作の第一歩として、ECサイトの基本について分かりやすく解説します。 ECサイトとは? ECとは「Electronic Commerce(電子商取引)」の略で、インターネット上で商品やサービスを売買する仕組みを指します。 一般的には、オンラインショップやネットショップと呼ばれることも多く、利用者はスマートフォンやパソコンから商品を購入できます。 例えば、商品の検索、カートへの追加、決済、配送依頼までをインターネット上で完結できるのがECサイトの特徴です。 ECサイト市場が拡大している理由 スマートフォンの普及と「いつでも買える」手軽さ 最大の理由はスマートフォンの普及です。今や誰もが手のひらの中に24時間営業のデパートを持っているようなものです。 移動中や就寝前のちょっとした隙間時間に、場所を選ばず買い物ができる「圧倒的な便利さ」が現代人のライフスタイルに完全に定着しました。 さらに、スマホ決済やクレジットカード情報の登録によってワンタップで購入できる手軽さも市場拡大を後押ししています。 ECサイト制作・開発ハードルの低下 以前に比べてECサイトを立ち上げるためのシステムやサービスが非常に充実してきました。専門的なプログラミング知識が少なくても、手軽にネットショップを開設できるクラウドサービスが増えたことが大きな理由です。 また、より本格的な独自システムを構築する場合でも、現代のソフトウェア開発技術の進歩により、高機能なサイトを昔よりも短期間かつ安全に開発できるようになっています。 企業の「商圏(ビジネスの範囲)」の劇的な拡大 企業にとってもECサイトは強力な武器になります。実店舗だけでは、足を運べる距離の「地域住民」が顧客になりますが、ECサイトであれば日本全国、あるいは世界中の人々が顧客になり得ます。 さらに、近年では「実店舗で商品の良さを確かめてもらい、購入はECサイトでしてもらう」といった、実店舗とネットを融合させた新しい売り方に取り組む企業も増えています。 ECサイトでできること ECサイトには、単に商品を掲載するだけでなく、さまざまな機能があります。 商品情報の掲載 商品の画像、価格、特徴、サイズやカラー展開などを魅力的に紹介する機能です。実物を手に取れないネットショップにおいて、購入の判断材料となる最も重要な要素です。 ショッピングカート機能 お客様が気に入った商品を一時的に保存し、まとめて精算できるようにする機能です。買い忘れを防ぎ、スムーズなレジ(購入手続き)へと誘導します。 クレジットカード決済 VISAやMastercardなどを用いた、オンライン上での即時決済を可能にする機能です。ECサイトにおいて最も利用率が高く、カゴ落ち(途中で購入を諦めること)を防ぐために必須の決済手段です。 在庫管理 商品の売れ行きに応じて、システムの在庫数を自動で増減させる機能です。 「売り切れ(在庫切れ)」の自動表示 実店舗や他モールとの在庫連動(※システムによる) これにより、注文が入ったのに商品がないというトラブルを防ぎます。 注文管理 お客様から入った注文のデータを一元管理する機能です。 注文内容や配送先住所の確認 「入金待ち」「発送済み」といった対応ステータスの管理 注文確認メールの自動送信 これらの一連の業務を効率化し、発送ミスを防ぎます。 会員登録機能 お客様の氏名、住所、過去の購入履歴などをシステムに保存する機能です。 2回目以降のお買い物で住所入力を省ける お気に入り機能やポイント機能が使える お客様の利便性を高め、リピーター(ファン)になってもらうための重要な役割を持っています。 これらを組み合わせることで、実店舗に近い販売環境をインターネット上で構築できます。 ECサイトの主な種類 ECサイトにはいくつかの種類がありますが、大きく分けると「モール型EC」と「自社ECサイト」の2つに分類されます。それぞれの特徴を分かりやすく解説します。 モール型EC(例:楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど) 大型のショッピングモールの中に、テナントとしてお店を出店するようなイメージです。モール自体に圧倒的な知名度があるため、オープン当初から多くのお客さんに来てもらいやすいのが強みです。 こんな方におすすめ まずは「早く、手軽に」ネット販売を始めてみたい方 ネットショップの運営経験が浅く、集客に不安がある方 すでに知名度のあるプラットフォームの力を借りて、知名度の高い商品を売りたい方 自社ECサイト モールには頼らず、インターネット上に独立した「自分だけの一軒家(単独店舗)」を構えるイメージです。最初は自分たちでお客さんを呼び込む必要がありますが、ルールに縛られず自由にお店を作ることができます。 こんな方におすすめ デザインや機能にこだわり、自社のブランド世界観をしっかり伝えたい方 リピーターを大切に育て、独自のファン(会員)を増やしていきたい方 長期的な視点で、モールへの手数料を抑えて利益率を高く保ちたい方 販売する商品や事業規模によって、適した形式は異なります。 ECサイト制作でよくある失敗 初心者の方によくあるのが、「ECサイトを制作すれば自然に売れる」と考えてしまうケースです。 実際には、サイト公開後の集客や運用、商品改善が非常に重要になります。 また運用負担を考慮せずに機能を増やしすぎると、更新作業が難しくなることもあります。 そのため、最初は必要な機能を整理し目的に合った形でスタートすることが成功のポイントです。 まとめ ECサイトは「作って終わり」ではない ECサイトはインターネット上で商品やサービスを販売するための重要な仕組みです。 現在では多くの企業がEC事業に取り組んでおり、業種や規模を問わず活用されています。 ただしECサイトは「作って終わり」ではありません。目的に合った設計や、公開後の運用・改善が成功には欠かせません。 次回は、「ECサイト制作の事前準備」について、制作前に整理しておきたいポイントを解説します。 ECサイトに関するご相談・お問い合わせはこちら

技術と人のあいだ|大阪のシステム開発会社ヨドックの技術コラム

現行システムの保守が進まない、本当の理由

システム保守のお悩み 「現行システムの担当ベンダーの反応が悪い」「改修要望を出してもなかなか進まない」「担当者が高齢で、この先の運用が不安」。 システム開発のご相談を受ける中で、こうした声は少なくありません。 特に大阪でシステム開発に携わっていると、長年使われてきた業務システムの“これから”についての悩みを耳にする機会が増えていると感じます。 大阪を中心にシステム開発 大阪の領域では、同様の課題が年々顕在化しています。 この問題、実は「ベンダーの対応が悪い」だけでは片付けられない、業界構造の話が背景にあります。 今回はその仕組みを整理しながら、企業として取るべき対策まで解説します。 システム開発 大阪でよくある「保守が続かない」構造 多くのお客様は、過去に決して小さくない費用を投じてシステムを構築されています。 それにもかかわらず、「なぜ十分に保守してもらえないのか」という疑問が生まれるのは自然なことです。 この背景には、システム開発というビジネスモデルの構造的な問題があります。 工業製品であれば、一度設計したものを量産し、販売を継続することで収益を確保できます。 しかし、スクラッチで開発されたシステムは基本的に“その会社専用”です。 同じものを横展開して売り続けることはできません。 つまり、開発時にいただいた費用だけで、その後何年にもわたって安定した保守を提供し続けるのは、ビジネスとして成立しにくいのです。 これはベンダーの怠慢ではなく、スクラッチ開発特有のビジネスモデルの限界と言えます。 システム保守には、目に見えないコストが積み重なっている 保守には、障害対応だけでなく、環境変化への追従、セキュリティ対策、軽微な改善など、見えにくい作業が継続的に発生します。 これらを適切に支えるには、相応の保守契約と費用が不可欠です。 もしその部分が十分に確保されていない場合、結果として対応の優先度が下がったり、担当者に負荷が集中したりする状況が生まれます。 「担当者が高齢で不安」という声も、実はこの構造と無関係ではありません。 適正な保守費用が確保されていなければ、新しい人材を育成・配置する余裕はベンダー側にも生まれません。 属人化が進み、その担当者が退職や引退を迎えたとき、一気にリスクが顕在化するのです。 経営判断の観点で言えば、「保守費用はコストではなくリスク回避の投資」です。 短期的なコスト削減のつもりが、将来的に大きな再開発費用や業務停止リスクとして跳ね返るケースは珍しくありません。 システム刷新は「解決策」ではなく「先送り」かもしれない もう一つの選択肢として、システムを定期的に刷新し、新規開発としてコストを投じる方法もあります。 一見すると前向きな投資に見えますが、実態としては「保守にかかる費用を開発費に置き換えている」側面もあります。 どちらを選ぶにしても、システムを維持するには継続的なコストが必要である点は変わりません。 大阪でシステム開発の現場に関わる中でも、「気づいたら刷新を繰り返すだけで、業務課題の本質が解決されていない」というケースを目にすることがあります。 刷新の判断をする前に、まず現状の保守体制を見直すことが重要です。 システム開発 大阪で失敗しないための実践ポイント システム開発 大阪で失敗しないための実践ポイント 今すぐできる、3つの確認アクション こうした問題を未然に防ぐ、あるいは現状を改善するために、以下の3点を今すぐ確認することをお勧めします。 ① 保守契約の内容を見直す 現在の契約に「どこまでの対応が含まれているか」を再確認しましょう。 曖昧なままにしておくと、ベンダーとの認識ズレが生じやすくなります。 ② 保守費用が適正かどうかを第三者に相談する 相場感がわからない場合は、現行ベンダー以外のシステム会社に相談してみることも有効です。 大阪でシステム開発を手がける会社の中には、セカンドオピニオン的な相談を受け付けているところもあります。 ③ 新規開発の前に「保守前提の設計」を確認する これから新たにシステムを導入・刷新する場合は、開発費だけでなく、運用・保守にかかるコストの見積もりを必ず事前に取得しましょう。 「作って終わり」ではなく「使い続けるための設計と契約」を最初から見据えることが、長く安心して使えるシステムへの近道です。 システム開発の現場は、就職活動中の学生の皆さんが想像する以上に、技術だけでなくビジネスの仕組みや顧客との関係構築が深く絡み合っています。企業選びの際には、「開発実績」だけでなく「保守や運用にどう向き合っている会社か」という視点を持つことで、より実態に近い企業理解ができるはずです。 関連記事 システム保守サービス システム保守費用は必要か?    ※本コラム『技術と人のあいだ』は、日々の業務でお客様への提案や若手エンジニアへの説明を行う筆者が綴る連載です。大阪でシステム開発の仕事に向き合う中で、限られた時間では伝えきれない「これも知っておいてほしいな」という現場の気づきを、ここに少しずつ書き留めていきます。

技術と人のあいだ|大阪のシステム開発会社ヨドックの技術コラム

会話のコンテキストを合わせる

ハイコンテキストな会話 会議中、Excelやスプレッドシートの画面を見ながら説明している人が「一番左の“行”ですが……」と言った瞬間、「それ、正しくは“列”ですよね」と心の中で突っ込んだ経験はないでしょうか。 けれど、多くの場合、そのまま話は止まらず進んでいきます。聞き手も「言いたいことは分かるから」と脳内で補正し、場の流れを優先する。これは日本の職場によくみられる、典型的な“ハイコンテキスト”なコミュニケーションです。言葉そのものの正確性よりも、前後の流れや共有された前提によって、互いに意味を補完し合っている状態と言えます。 長く同じチームで仕事をしていると、「あれ」「例の件」「いつもの感じで」で通じることが少なくありません。しかし、一歩外に出ると、この「伝わっているつもり」は意外な落とし穴になります。 コンテキストが合わない場面 たとえば、大阪でシステム開発の導入を検討されるお客様との要件定義。 「前と同じように、いい感じにしておいて」という言葉をそのまま受け取ると、いざ画面ができた後になって「思っていたのと違う」という大きなすれ違いが起きがちです。 また、就職活動中の学生さんとの面接の場でも、「サークルでリーダーを務め、コミュニケーション能力には自信があります」という言葉の奥にある具体的な経験値や行動特性が、面接官の前提と噛み合っていないことがよくあります。 これらはすべて、話し手と聞き手のコンテキスト(文脈や背景)が揃っていない状態です。前提が共有されていない相手に対して、無意識のうちに身内向けの“ハイコンテキスト”な伝え方をしてしまうため、理解にズレが生まれるのです。 私たちエンジニアは、普段から究極の“ローコンテキスト”であるコンピュータと向き合っています。プログラミング言語は「誰が」「何を」「どうする」を1から10まで明確に、一切の省略なく指示しなければ動きません。少しでも文脈を飛ばせば、容赦なくエラーが返ってきます。 一方で、人間の会話、特に日本語は視点を自然に切り替えながら進む、いわば「カメラワークのような言語」です。 「私は」を毎回言わなくても成立する代わりに、聞き手側に多大な“察する力”が求められます。 コンピュータには通じない曖昧な言葉でも、人間同士なら「なんとなく分かった気」になってしまう。 ここがコミュニケーションの一番の難しさです。 コンテキストを合わせてみる 行き違いを防ぐためには、一度だけでも意識して“ローコンテキスト寄り”に話してみる価値があります。 主語・動詞・目的語を意識して、構造的に説明する 「つまり○○という意味ですね」と自分の言葉で言い換えて確認する 「ここまでで、認識のズレはないですか?」とこまめにすり合わせをする 相手が見えている情報と、自分が見えている情報の差を想像する こうした小さな工夫の積み重ねで、伝わり方は劇的に変わります。 特に関西、とりわけ商人の町である大阪は、「阿吽の呼吸」や「ノリと勢い」といった、高度でハイコンテキストなコミュニケーションが愛される土地柄です。 しかし、そんな人情味あふれる大阪でシステム開発という厳格な仕事をしていると、「技術力」だけでは前に進まない場面を何度も見かけます。 設計レビュー、要件確認、障害対応、そしてお客様へのご説明――どれも結局は、曖昧な人間の言葉を紐解き、確実なシステムへと落とし込んでいく“人と人の理解合わせ”に他なりません。 「通じているはず」と「本当に通じている」の間には、意外と大きな差があります。 だからこそ、少しだけ丁寧に言葉を置いてみる。相手の前提に立って、伝え方をチューニングする。 その地道な積み重ねが、チームの空気を良くし、お客様との信頼を築き、結果として良いシステムを創り上げる第一歩になるのだと思います。 だからこそ私たちは、技術だけでなく対話を重視しています。 関連記事 ヨドック式開発手法 品質に対する誤解    ※本コラム『技術と人のあいだ』は、日々の業務でお客様への提案や若手エンジニアへの説明を行う筆者が綴る連載です。大阪でシステム開発の仕事に向き合う中で、限られた時間では伝えきれない「これも知っておいてほしいな」という現場の気づきを、ここに少しずつ書き留めていきます。

ランサムウェア被害のアサヒグループ、再発防止策を発表–情報セキュ リティを管轄する独立組織を設置

アサヒグループホールディングスは、2025年9月29日にランサムウェア「Qilin」による攻撃を受けました。原因は、外部の攻撃者がネットワーク機器を経由して社内ネットワークに侵入し、管理者権限を奪取、内部を約10日かけて探索したのち、ランサムウェアを実行したものです。これにより、複数のサーバーや、ゼロトラスト未対応のパソコンが暗号化され、アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品の3社で、10月から12月の売上が前年比およそ8割にまで落ち込みました。  情報漏えいについては、確認済みのものが約11万5千件。内訳は、従業員が5,117件、取引先関係者が11万396件です。さらに、漏えいのおそれがあるものも含めると、約190万件にのぼります。これを受けて2026年2月18日、再発防止策が発表されました。柱は大きく2つです。一つ目は、組織・ガバナンス面の改革です。情報セキュリティを管轄する独立した組織と、専任の担当役員、いわゆるCISOを新設し、情報セキュリティ委員会を設置することで、リスクを可視化し、対策の計画と実行をモニタリングする体制を整えました。二つ目は、技術面の対策です。具体的には、リモートアクセスVPN装置を全面廃止し、ゼロトラストへ完全移行する。EDRの設定強化や、ログ分析・監視・遮断の自動化を進める。アカウントの作成・変更・削除を自動化する。さらに、ペネトレーションテストやスレットハンティングを継続的に実施する、というものです。 引用:ZDNET ─ YODOQの見方─────────────────────────── 一つ目は、「VPN装置からの侵入」は決して特別な話ではない、ということです。アサヒグループに限らず、多くの企業が今でもVPN装置経由で社内ネットワークにアクセスする構成を続けており、攻撃者にとっては典型的な侵入口となっています。今回の事件は、ゼロトラストへの移行を「いつかやる」ではなく「今すぐやる」課題に押し上げた、象徴的な事例といえます。 二つ目は、「侵入されてから約10日間、気づかなかった」という事実の重みです。攻撃者は侵入後、横展開して管理者権限を奪取するまでに時間をかけます。この期間に検知できれば、被害は最小限に抑えられたはずです。EDR、ログ分析、振る舞い検知といった「侵入後の早期発見」の仕組みは、ファイアウォールやVPNと同じくらい重要であることを、改めて思い知らされます。 三つ目は、CISOと独立した情報セキュリティ組織を「事件後に」設置している点です。裏を返せば、それまでは情報システム部門の片隅でセキュリティを見ていた、ということです。セキュリティはもはや「ITの問題」ではなく「経営の問題」であり、ガバナンスとして独立性を持たせる必要があります。これは、私たちIT企業がお客様にシステムを提案するときにも、強く意識すべきポイントだと感じます。

技術と人のあいだ|大阪のシステム開発会社ヨドックの技術コラム

トレーサビリティという“見えない安心”

トレーサビリティ システム開発の現場にいると、「そこまでログを残す必要があるのか」と問われることがあります。特に大阪でシステム開発に携わっていると、スピードやコストの最適化が優先され、目に見えにくい仕組みは後回しにされがちです。しかし、その“見えない部分”こそが、安心の裏付けになります。 身近な例 トレーサビリティという言葉は少し堅く聞こえますが、実はとても身近な概念です。たとえば、スーパーで見かける「生産者の顔が見える牛肉」。どこで誰が育てたのかを辿れるからこそ、私たちは安心して購入できます。また、宅配便の追跡サービスも同じ考え方です。送り状番号を入力すれば、荷物がいつどこを通過したのかがわかる。この可視化された情報が、利用者に安心感を与えています。さらに、医薬品のロット管理も代表的な例です。製造番号によって流通経路を遡ることができるため、万が一の際にも迅速かつ限定的な対応が可能になります。 いずれも共通しているのは、「何かあったときに追跡できる状態」が整えられていることです。そして、この考え方はシステム開発においても変わりません。操作ログやアクセス履歴を残すのは、単なる記録のためではなく、「いつ、誰が、何をしたのか」を後から確認できるようにするためです。 状況に応じて 日々の運用が問題なく回っていると、その価値はなかなか実感されません。むしろ「ログが多すぎる」「管理が大変だ」といった声の方が目立つこともあります。しかし、ひとたびトラブルが発生したとき、その差ははっきりと表れます。追跡できるシステムは原因の特定が早く、対応も的確になります。一方で、記録が不十分な場合は調査に時間がかかり、結果として信頼を損なうリスクが高まります。 抑止力という側面 また、トレーサビリティは事後対応だけでなく、抑止力としても機能します。「記録が残る」という前提があることで、不正利用やヒューマンエラーの発生を未然に防ぐ効果も期待できます。 先読みが重要 大阪でシステム開発の仕事に向き合う中で強く感じるのは、「平常時ではなく、非常時を見据えて設計すること」の重要性です。何も起きない前提で最適化するのではなく、何かが起きたときにどこまで追えるか、どこまで説明できるか。その備えとして、トレーサビリティは欠かせない要素です。 派手さのある機能ではありませんが、確実に信頼を支える基盤となるもの。だからこそ、日々の設計や実装の中で丁寧に積み上げていく価値があると考えています。 関連記事 ヨドック式開発手法 品質に対する誤解    ※本コラム『技術と人のあいだ』では、日々の業務で、お客様への提案や若手エンジニアへの説明をする機会が多くあります。大阪でシステム開発の仕事に向き合う日々の中で、限られた時間では伝えきれないことや、「これも知っておいてほしいな」「前にも同じ話をしたな」と感じることを、ここに少しずつ書き留めていきます。

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科学と技術のあいだ

科学と技術 「コンピューターシステムは高度な科学技術の結晶」この文章は、特に違和感なく受け入れられると思います。システム開発はそんなコンピューターシステムを開発する取り組みです。ところが古来、特に西洋では「科学」と「技術」はまったく別の系統で発展してきたという話を最近耳にしました。 「科学」とは、仕組みや法則を理解し、再現性をもって説明できることです。同じ条件であれば、誰が試しても同じ結果になる。そして「なぜこうなるのか」を論理的に語れる状態にあること。それが科学的であると言えます。 一方、「技術」は必ずしもすべてが説明されている必要はありません。経験や試行錯誤の中から「うまくいくやり方」を見つけ出し、再現していく営みです。 どちらが先か 大阪で一般的に使われているうすくち醤油も、その一例です。この醤油をつくる行為は、発酵という非常に複雑なプロセスを経ます。そしてそれは、長年の蓄積によって確立された技術です。最適な素材、温度や水分などの条件を組みあわせコントロールする事で目的を達成します。この例えでは発酵に関わる酵素や分子を特定してそのはたらきを示すのが科学です。技術の発見が先にあり、後から科学によってその仕組みが説明される、という順になっています。 同じように、薬草によって病気やケガが治るという営みも、長らく技術として扱われてきました。後から有効成分が解明されることで科学的に説明されることはあっても、現場では「効く」という事実が先に存在していたわけです。 システム開発は科学的か? では、大阪でシステム開発に携わる現場はどうでしょうか。計算機やプログラムは論理と数学に基づいた科学の結晶であり、本来はすべて説明可能であるべき世界です。しかし現実の開発現場、とりわけ不具合対応の場面においては、様子が変わってきます。 不具合対応はまず再現することから始まります。再現できれば、条件を整理し、原因を切り分け、論理的に対処することができます。しかし、直接的な原因がすぐに分からない場合、私たちはログを追い、仮説を立て、検証しながら手探りで修正方法を探っていきます。このプロセスは、科学というよりも技術に近いものです。経験や勘、過去の類似事例が重要な役割を果たします。 さらに厄介なのが、再現しない不具合です。特定のタイミングでシステムの挙動が遅くなる、あるいは断続的にしか発生しない問題は、まさにこの典型です。再現できなければ科学的な検証は難しく、かといって試行錯誤の起点も曖昧になります。ときには科学的アプローチを放棄して、メモリをクリアするために「プロセス再起動」のような応急的な対応をせざるを得ない事もあります。 科学は約に立つのか? システム開発の段階では、科学的な思考の積み上げによってシステムはつくられます。 しかし、ビジネスの現場という複雑な環境では、想定外の挙動を示すことがあります。 そのとき、大雑把な技術でしか対処できない場面があるというのは、どこか皮肉にも感じられます。 それでも、科学的な視点は重要です。「仮説を立てて検証する」「本当は別の原因ではないかと疑う」「この疑念を晴らすためには何を証明すべきかを考える」。こうした思考は、不具合対応を前に進めるための重要な手がかりになります。完全に再現できなくとも、観測できる事実を積み重ねることで、解決に近づくことは可能です。 関連記事 システム開発の現場、それ本当にバグってますか? 品質に対する誤解    ※本コラム『技術と人のあいだ』では、日々の業務で、お客様への提案や若手エンジニアへの説明をする機会が多くあります。大阪でシステム開発の仕事に向き合う日々の中で、限られた時間では伝えきれないことや、「これも知っておいてほしいな」「前にも同じ話をしたな」と感じることを、ここに少しずつ書き留めていきます。

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常識のない技術者

現場の「常識」にまつわること 苦い記憶 「それ、常識でしょ?」 システム開発の現場で、何気なく発せられるこの一言に、苦い記憶を持つ若手技術者は少なくないはずです。私自身、大阪でシステム開発の仕事に携わる中で、この言葉の重さと曖昧さを何度も感じてきました。 例えば、テストデータに使用するメールアドレスのドメインは「example.com」を使う、というルール。あるいはSSL証明書の更新時には、まずCSR(証明書署名要求)を作成し、その後に認証局へ申請を行う、という一連の流れ。どちらも現場では当たり前のように扱われますが、体系的な研修で丁寧に教わる機会は決して多くありません。知らないまま現場に入り、指摘されて初めて気づく——そんな経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか。 さらに領域を業務側に広げると、「常識」は一層複雑になります。発注・支払業務においては締め日が自社都合で月末などに固定される一方、受注・請求業務では得意先ごとに締め日が異なるのが一般的です。また、輸出入の現場で「バンする」と言えば、それはコンテナでの出荷を意味します。こうした知識は、教科書にも仕様書にも明確には書かれていないことが多く、現場での会話や経験を通じて少しずつ身についていくものです。 人によって異なる「常識」 ここで一度立ち止まって考えてみたいのは、「常識」とは一体誰のための言葉なのか、ということです。プログラミング、ミドルウェア、インフラ、業務知識、さらにはマネジメント。システム開発という仕事は、これらすべてが複雑に絡み合う総合格闘技のようなものです。大阪でシステム開発に関わっていると、案件ごとに前提となる知識が大きく異なることを日々実感します。同じ「現場経験がある」という言葉でも、その中身は人によって全く違うのです。 加えて、技術やビジネスの進化は止まりません。昨日までの常識が、今日には通用しなくなることも珍しくない世界です。そう考えると、「常識がない」という評価は、実は非常に不安定で相対的なものだと言えるでしょう。 本当に大切なこと だからこそ大切なのは、「自分にはまだ知らないことがある」という前提に立つことです。これは若手に限った話ではありません。経験を積んだエンジニアであっても、新しい分野に足を踏み入れれば、途端に“常識のない人”になります。その事実を受け入れられるかどうかが、成長の分岐点になるのではないでしょうか。 そしてもう一つ、伝える側の姿勢も問われます。「常識だから」で片付けるのではなく、「これは共有されていない知識かもしれない」と言語化していくこと。その積み重ねが、チーム全体の底上げにつながります。大阪でシステム開発に携わる現場では、人材のバックグラウンドも多様です。だからこそ、暗黙知をそのままにせず、少しずつでも共有していくことが重要になります。 システム開発の現場では、「知らないことがある」という状態は避けられません。技術も業務も変化し続ける以上、どれだけ経験を積んでも、新しく学ぶべきことは必ず出てきます。 常識に対する姿勢 その前提に立つと、求められる姿勢は自然と見えてきます。各自が学び続けることを前提にすることです。一度身につけた知識に頼り続けるのではなく、その都度アップデートしていく。その積み重ねが、結果として個人の価値を支えていきます。 同時に、忘れてはならないのは、知らないことを責めないという視点です。「常識」という言葉で片付けてしまえば、その場は収まるかもしれません。しかしそれでは、知識は共有されず、同じことが繰り返されるだけです。むしろ、知らなかったことをきっかけに対話が生まれ、理解が深まるような関係性のほうが、長い目で見て健全です。 誰もが、ある場面では「知っている側」であり、別の場面では「知らない側」になります。その前提に立ち、学び続けることと、他者の成長を受け止めること。その両方が揃ったとき、チームとしての力は着実に底上げされていくのだと思います。 関連記事 WEBシステムという選択肢を読み解く 移行から考える    ※本コラム『技術と人のあいだ』では、日々の業務で、お客様への提案や若手エンジニアへの説明をする機会が多くあります。大阪でシステム開発の仕事に向き合う日々の中で、限られた時間では伝えきれないことや、「これも知っておいてほしいな」「前にも同じ話をしたな」と感じることを、ここに少しずつ書き留めていきます。

「Claude」の“偽サイト”登場 「日本語無料版」など巧みに誘う  すでに閲覧不能も検索順位の高さは脅威

AIサービスClaudeの偽サイトが登場し、現在大きな問題として注目を集めて いる。 偽サイトの存在自体は珍しくないが、Google検索で出てくる順位が高すぎる 点でも注目を集めたよう。 この偽サイトは「Claude(クロード)日本語無料版」という名称。 Google検索では本家のAIサービス「Claude」と並んで、 あるいはそれよりも上位に表示される場合もあったよう。 過去に話題になった偽サイトは、Googleに金を払って特定のワードで 検索された際に強制的に上位に表示される「リスティング広告」を悪用した ケースが多かった。 しかし今回は、自然検索で──つまり“Googleのおすすめ”として上位に 出てきた点が問題となっている。 しかもサイトの表記は本家が英語のみのシンプルな「Claude」なのに対し、 偽サイトは「日本語無料版」を付けて英語が苦手な日本人を巧みに誘っている。 「Claudeの偽サイト内でクロードにログインしてしまったり、サイト内で 課金してしまった」という声もあったそう。 この偽サイト、13日の午前0時の時点ではGoogle検索に表示されアクセスも 可能だったが、午前11時半時点では検索結果には出てくるものの、 閲覧はできなくなっている。 引用:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2603/13/news086.html ─ YODOQの見方─────────────────────────── 偽サイトを使ってしまうと、クレジットカードや個人情報を盗まれたり、 パスワードやメールアドレスを抜き取られたりする危険性があります。 知らずにアクセスしてしまった場合に、正しく対処できるよう対処法につい て改めて調べてみました。 <アクセスしてしまった場合> 害のあるサイトでどこまで操作したかが重要です。 ①サイト開いただけの場合 ・即座にタブを閉じる ・ネットワークを遮断する ・ブラウザのキャッシュとCookieを削除する ・不審な通知の許可を消す ②ログイン情報を入力してしまった ・パスワードの即時変更 ・二段階認証の有効化 ・使いまわしパスワードの変更 ③インストールや・ファイルをDLした場合 ・ネットワークを遮断する ・ウィルススキャンを実行 ・認証トークン無効化 ④決済情報を入力した場合 ・カード会社へ連絡し、必要に応じて利用停止 また、被害を未然に防ぐ対策についても調べてみました。 <被害を防ぐための対策> ・URLが公式のものかを確認する →暗号化されていないサイトは偽物の可能性が高い。 「https」で暗号化されたURLであっても偽物であるケースは多い。 今回のClaude偽サイトもhttpsだった →ブックマークなどを利用して、公式のサイトからアクセスするようにする。 ぱっと見で判断しないことが重要。 ・少しでも怪しいと思ったら、IDやパスワードを入力しない →サイトへアクセスしただけでは、被害に遭う可能性は低いが、パスワード などを入力してしまうと、個人情報の流出などの被害に遭ってしまう可能性 が高くなる。 ・不自然な日本語が使われていないか →詐欺サイトは、海外のグループが関与していることが多く、不自然な日本 語が使われていることが少なくない。 今回のクロード偽サイトにも日本語表記に違和感があったそう。 常にこれらを意識することは難しいですが、少しの油断で引っかかってしま うことは十分にあり得るため、サイトにアクセスする前に一呼吸置くことも 重要であると思います。 参考:https://www.lrm.jp/security_magazine/overdo_phishing/

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システム開発の現場、それ本当にバグってますか?

なにげなく使われる「バグ」 「システムがおかしい。バグっているのでは?」 システムを利用しているお客様から、こんな言葉を聞くとシステム保守担当に緊張が走ります。「バグ」という単語も、もともと専門用語だったものがゲームの普及などで一般にも浸透しているようです。最近では「民主主義のバグ」などという表現がニュース記事で使われることもあります。 システム開発やシステム保守の現場で使われる、似た用語は多々ありますが、普段からはっきりとした違いを意識できている方は意外と少ないかもしれません。 用語の違い 「バグ」は、プログラムの設計や実装に誤りがあり、想定と異なる動作をする状態を指します。たとえば計算ロジックのミスにより、正しい結果が出ないようなケースです。 「不具合」は、もう少し広い概念です。システムの動作が仕様どおりでない、あるいは期待と異なる状態を広く指します。原因がプログラムミスとは限らず、設定ミスや環境差異、データの問題なども含まれます。 「障害」は、システムが業務として利用できない、または大きな影響が出ている状態を表す言葉です。サーバ停止やログイン不能など、業務が止まるレベルの問題で使われることが多いでしょう。 「エラー」は、システムが何らかの異常を検知した状態を指します。エラーメッセージが表示される場合もあれば、ログにだけ記録される場合もあります。ただしエラーが出たからといって、必ずしもバグとは限りません。 このように整理してみると、お客様の言う「バグ」という一言の中に、実はいくつもの解釈が考えられます。 システム開発担当者としては、聞き取った内容を咀嚼しなおして、正確な用語で認識する必要があります。 視点のギャップ プログラムを習いだして日が浅いエンジニアや、日々システム開発を主に担当するエンジニアは、「エラー」や「例外」に過敏に反応し、それを排除するためにどうしたらよいかに注力しがちです。 しかし、お客様が求めているのは必ずしもそこではありません。 例えば、システム運用中にトラブルが起きたとき、お客様が求めているのは「障害」から復旧して出荷業務を止めない事であったり、サイトでの決済を正常化して機会損失を減らす事かもしれません。 1週間かかって100点の対応をするよりも、1時間以内に60点の対応をする事が評価される場合もあるでしょう。(大阪のお客様はせっかちな方が多いですね・・・) エンジニアが目指す「原因を完全に解明すること」と、ユーザーが求める「業務を止めないこと」は、必ずしも同じではないのです。 大阪でシステム開発に関わっていると、こうした認識のズレに出会う場面は少なくありません。システムを使う人と作る人では、同じ出来事でも見え方が変わります。 時には細かい言葉の違いに注意してみることで気づけることがありそうです。 関連記事 品質に対する誤解 システム保守サービス    ※本コラム『技術と人のあいだ』では、日々の業務で、お客様への提案や若手エンジニアへの説明をする機会が多くあります。大阪でシステム開発の仕事に向き合う日々の中で、限られた時間では伝えきれないことや、「これも知っておいてほしいな」「前にも同じ話をしたな」と感じることを、ここに少しずつ書き留めていきます。

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「キャッシュクリア」って何?

キャッシュについてのやりとり 「キャッシュが残っているので、Ctrl+Shift+F5で再確認してください」 システムやホームページの不具合を問い合わせたとき、こんな返答を受けたことはありませんか。言われた通りに操作すると確かに直る。でも「キャッシュとは何か」と聞かれると、うまく説明できない。なんとなく“溜まっていると不具合の原因になるもの”という印象だけが残る――これは多くのユーザーに共通する感覚ではないでしょうか。 キャッシュ(cache)という言葉は、もともとフランス語で「隠し場所」という意味だそうです。コンピュータの世界でも基本は同じで、「よく使うデータを、すぐ取り出せる場所に隠しておく仕組み」を指します。 たとえばホームページの画像やデザイン情報。毎回サーバーから取得していては表示が遅くなります。そこでブラウザは、一度読み込んだデータを手元に保存します。次回はその“隠し場所”から取り出すため、表示が速くなる。これはシステム開発の現場ではごく一般的な高速化手法です。 問題が起きるのは、その隠しておいた情報が古くなったときです。 サイトを更新したのに、ユーザーの画面では変わっていない。開発側では修正済みでも、利用者側では旧データが表示されている。こうした“反映されない”問題は、システム開発において非常によくあるケースです。 ここに、技術者とユーザーの認識の差があります。 システム開発に携わる側にとって、キャッシュは前提知識です。動作確認もキャッシュの仕組みを理解したうえで行っています。しかしユーザーは、その前提を共有していません。「こちらでは確認済みです」と伝えても、ユーザーの画面ではまだ古い状態、ということが起きます。 技術者から見れば“正常”。 ユーザーから見れば“直っていない”。 このすれ違いは、技術力の問題ではなく、説明の不足から生まれます。 「キャッシュの影響かもしれません。最新情報を読み直してみてください」 この一言があるだけで、ユーザーの納得感は大きく変わります。システム開発は、プログラムを書くことだけではありません。仕組みを、相手の立場で伝えることも含まれます。 キャッシュは単なる“隠し場所”。 ですが、その存在を共有できるかどうかで、コミュニケーションの質は変わります。 システム開発やホームページ制作において重要なのは、技術そのものだけではありません。 技術者とユーザーの間にある前提知識のギャップを、どう埋めるか。 キャッシュの話は、その基本を思い出させてくれる、小さな題材なのです。 関連記事 WEBシステムという選択肢を読み解く 品質に対する誤解    ※本コラム『技術と人のあいだ』では、日々の業務で、お客様への提案や若手エンジニアへの説明をする機会が多くあります。大阪でシステム開発の仕事に向き合う日々の中で、限られた時間では伝えきれないことや、「これも知っておいてほしいな」「前にも同じ話をしたな」と感じることを、ここに少しずつ書き留めていきます。

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