カートリッジ会社がキヤノン提訴へ 「仕様変更は違法」

インクカートリッジの仕様を変更してリサイクル品の販売を妨げたのは独占禁止法に違反するなどとして、リサイクル品を製造・販売する「エコリカ」(大阪市)が、大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京)を相手取り、3千万円の損害賠償などを求める訴えを27日にも起こす。
訴状によると、キヤノンは17年9月に発売したインクカートリッジでインク残量を表示するICチップの仕様を変更し、インクを再注入してもプリンター上で「インクなし」と表示されるようになり、リサイクル品を製造・販売できなくなったと主張する。
さらに、この影響でキヤノンのプリンターで使えるインクカートリッジ市場では、キヤノンの純正品のシェアが同年12月の84%から今年9月には95%に上昇し、市場を独占していると指摘。仕様の変更は、独占禁止法が禁じる「競争者に対する取引妨害」にあたるなどと主張する。

引用:https://www.asahi.com/articles/ASNBS61Y6NBNPTIL02G.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

製造メーカーは、プリンター本体を安い価格に抑え、消耗品のインクカートリッジをたくさん販売することで利益を出しています。そのため、製造方法等で特許を押さえて、自社のインクカートリッジのみを使ってもらえるようにしています。しかし、インクカートリッジで利益を出そうとすると、どうしても価格は高く設定されます。
そこに商機を見出す再生品販売メーカーや汎用品メーカーが現れ、純正品よりも安価で販売しています。純正品メーカーにとっては、インクカートリッジの販売利益を減らされることは死活問題にもなるので、特許権侵害で裁判を起こしたこともあります。平成19年のキャノンとセイコーエプソンがリサイクル品メーカーを相手取り起こした訴訟2件の内、1件は特許権侵害にあたるとしてリサイクル品の廃棄や販売の禁止を命じられましたが、もう1件は特許権侵害にはあたらないとの判断で販売を認められました。ただ、その判決の後にメーカー側はインクの注入を難しくするなど再利用しにくい工夫を凝らしたインクカートリッジを製造することで対抗しています。

インクカートリッジのように本体ではなく、消耗品で利益を出すビジネスモデルを「消耗品型ビジネス(替え刃モデル)」といい、消耗品のことは考慮せず本体で利益を出すビジネスを「売り切り型」と言います。「消耗品型ビジネス」には、ネスプレッソや電動歯ブラシ、カミソリなどがあります。このようなビジネスモデルは特許などで自己を防衛する力が必要となってきます。
逆のビジネスモデルである「売り切り型」は、商品を購入してもらえれば利益は出るようになっていますが、次に同じものを購入してもらえるのは買い替え時になります。そこで、メンテナンス等で毎月定額の利益を確保するというビジネスモデルが生まれました。
それと同じ考え方で動画や音楽配信でも有名になったサブスクリプションモデルがあります。このビジネスモデルの肝は、毎月定額の利用料を支払ってもらうユーザーをいかにつなぎとめるかにあると思います。ユーザーが対価に見合う価値を感じられなければ、解約されてしまうからです。
モノが売れにくい時代、定額制やサブスクリプションモデルを行っている企業は、顧客に対価に見合うだけの価値を提供し続けていかなければならないなと改めて感じました。

参考:https://xn--eckwa5fqb1kv33p2e5a.com/trouble/102/