譜面作成を効率化、リズムゲームの変遷と現在

現在ではゲームセンターだけでなく、スマホゲームの一つとしても人気を集めているリズムゲーム(別名「音ゲー」)。開発する上で他のゲームと違うのは、新しい曲やその譜面を新規コンテンツとして開発する必要がある点。特に譜面は曲に合わせてタッチする位置などを示した時系列データをそれぞれの曲に合わせて新規に作ることになる。この手間をスマホ向けリズムゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」を開発するKLabはAIを活用して作業を効率化している。
KLabがWebアプリとして自社向けに作成した譜面制作支援ツールで、楽曲のデータをアップロードし、BPM(楽曲のテンポ・速さ)を入力すると、各難易度の譜面を自動生成する。譜面を出力するAIは、リズムゲーム「Dance Dance Revolution」の譜面を自動生成する先行研究を参考に開発された。
「基本的には初級など低い難易度の譜面を作るときに、人間が最終調整することを前提に利用している」とのことだが、楽曲によっては手を加える必要のない譜面が出力されることもあるそうで、「1曲あたり40時間ほどかかっていた作業を約50%削減できた」とのこと。

引用:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/30/news088.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

リズムゲームの歴史について調べてみた。

音楽ゲームの歴史は、1996年にソニー・コンピュータエンタテインメントがPS用ソフト『パラッパラッパー』を発売したことから始まる。今ではよく目にする「音楽に合わせてボタンを押す」ゲームの元祖で、国内累計出荷本数148万本を記録し、2009年まで「日本で最も売れた音楽ゲームソフト」の座を維持し続けるほどの大ヒットタイトルとなった。
翌年1997年には、コナミがアーケードゲーム『beatmania』の稼働を開始し、これが音楽ゲームの火付け役となった。この後コナミから同シリーズのバージョンアップ版などが多数登場した他、『ダンスダンスレボリューション』『drummania』『GUITARFREAKS』『KEYBOARDMANIA』といったプレイ方法が異なるバリエーション作品が多数登場し、ブームを加速していく。しかし、操作性が複雑化していくことで、誰もが楽しめるゲームではなくなった。
そんな中、2001年にナムコが『太鼓の達人』を発表。操作体系を「太鼓・縁を叩く」のみに単純化したことによりファミリー層からの支持を獲得する。操作の単純性は家庭用ゲームにおいても継承され、任天堂から2005年に発売されたDS用ソフト『押忍!闘え!応援団』、2006年に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト『リズム天国』はシンプルながら独自の操作性によって人気を獲得。2008年にはDS用ソフト『リズム天国ゴールド』が発売され、『パラッパラッパー』が持っていた「日本で最も売れた音楽ゲームソフト」の記録を塗り替える。操作の単純化によってユーザーに対する間口が広がった他、シンプルなシステムを補うためのキャラクターやストーリーといった装飾要素が強化されたことにより、より広く音楽ゲームが普及していくこととなった。
2008年以降になると、アーケードの音楽ゲームにおいて、元々の主流であった「楽器型のコントローラーを操作する」というプレイ方法と異なるタイトルが登場する。その多くは直感的な操作やユーザーが体験する要素を重視している。
家庭用ゲームでは、スマートフォンの普及とアイドルコンテンツの更盛が重なったことから、アイドルを取り扱った音楽ゲームが流行した(ラブライブやアイドルマスター、アイドリッシュセブンなど)。現在では、メディアミックスを意識したコンテンツ展開の1つしての側面も現れており、CDをはじめとした商品販売やコンテンツに関連したアニメ番組の放送、あるいはその逆の展開などがよく見られる。

リズムゲームの歴史を振り返って感じたのは、最近の音ゲーはリズムゲームを楽しむだけではなくキャラクターやオリジナルの楽曲、ストーリーを楽しむものに変わってきているということだ。リズムゲームを楽しむための音ゲーだったのが、リズムゲームはストーリーを進めるための通過点となっており、冒頭の記事のKLabの「ラブライブ」は特にそのイメージが強い。音ゲーの要であるリズムゲームの譜面の作成を効率化するというのはおかしな話のように感じたが、リズムゲームの譜面にだけ時間を割くわけにはいかなくなった昨今の状況が背景にあると言える。逆に言い換えるとリズムゲームの譜面の効率化がなされることにより、その分リズムゲームに工夫を加えることができる可能性がうまれる。記事の譜面制作支援ツールがリズムゲームのさらなるターニングポイントとなるのかどうか今後も注目していきたい。

参考:https://game-creators.jp/media/career/363/