企業の後継者「不在率」、過去最低53.9% 事業承継「内部昇格」が初のトップ、脱ファミリー加速

日本企業の「後継者問題」は改善傾向が続いている。
2023年の全国・全業種約27万社における後継者動向について調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業は14.6万社に上った。
この結果、全国の後継者不在率は53.9%となり、22年から3.3pt低下した。
6年連続で前年の水準を下回ったほか、コロナ前の19年からも11.3pt低下するなど、大幅な改善傾向が続いた。
また、調査を開始した2011年以降、不在率は過去最低を更新した。

2019年以降の過去5年間で行われた事業承継のうち、前経営者との関係性(就任経緯別)をみると、23年(速報値)の事業承継は血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」によるものが35.5%に達した。
これまで最も多かった身内の登用など「同族承継」(33.1%)を上回って、事業承継の手法として初めてトップとなった。
事業承継は親族間承継の急激な低下を背景に「脱ファミリー」の動きが加速している。
このほか、買収や出向を中心にした「M&Aほか」(20.3%)、社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」(7.2%)など、親族外承継の占める割合も、コロナ禍以降上昇傾向が続いた。第三者承継は自社社員かM&Aなど他社との吸収・合併によるものに二極化している。

引用:<Yahooニュース>
https://news.yahoo.co.jp/articles/2adb66cdb32ad9ec4c8cc8e7549e6cee4b607c51

─ YODOQの見方───────────────────────────

自身の知り合いや周りでも後継者不在や事業承継先を探す方達が増えてきており、今後の就業者人口の減少なども考えて、後継者の育成を考えていかなければならない。

まず、就業者数を2022年の総務省の統計から調べてみると、2012年の6280万人から2015年は6402万人、2018年は6682年、2020年は6710万人、2022年は6723万人とまだ年々増えているものの、増える割合は減ってきており、おそらく5年以内に減少傾向に転じるとものと思われる。

次に年齢階級別を見てみると2022年では、15~24歳が547万人、25~34歳が1110万人、35~44歳が1313万人、45~54歳が1637万人、55~64歳が1204万人、65歳以上が912万人となっている。
65歳以上は2012年の596万人から65%も増えたことになる。
65歳以上の就業者数は今後も増えると思われるが、ほとんどが第一線から退いたいわゆる定年再雇用による嘱託社員が多く、後継者候補になる世代とは言い難い。
実際に65歳以上のうち、80%が非正規の従業員という統計もある。

帝国データバンクの調べによると2022年時点での社長の平均年齢は60.4歳。統計として遡れる1990年から32年連続で上昇し、過去最高となった。
その一方で、「後継者難倒産」は過去最多の487件で、社長の病気または死亡によって事業が立ち行かなくなり、倒産となったケースが半分近くを占め、経営リスクとして顕在化してきている。

また、社長交代後の平均年齢差は17.3歳で、世代の近い後継者というよりは一世代若い後継者を選択するというケースが増えてきている。

ただ、最近問題となっているのは、現経営者が能力面や素質面から後継者候補に対し、懸念を示して事業承継を諦めるケースや後継候補者が断るケースもあり、後継者問題が顕在化してきている。

この問題を解決するには、後継者候補を決めた後、候補者への教育や引継期間を十分にとることや、承継後もフォロー・サポートの体制をしっかりとることが必要ということを現経営者も候補者もお互い理解し合うことが重要と考える。

参考:<総務省統計局 労働力調査2022年>
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf

参考:<ForbesJapanニュース>
https://forbesjapan.com/articles/detail/63929