知っておきたい「日本型」スマートシティの現在時刻

次世代の街づくりを目指すスマートシティ構想は、2000年代から急速に注目を集めている。
行政の支援によるスマートシティプロジェクトは全国各地で推進されてきました。2012~2014年頃に課題解決型のスマートシティがトレンドになったときは、総務省が旗を振った『ICTスマートタウン構想』が進められていました。インフラのスマート化を進めつつ、あらゆるデータをIoTによってセンシング。そのデータで新たな付加価値を提供していこうという都市像です。

・Smart Living(スマートリビング・生活)
・Smart Energy(スマートエネルギー・環境)
・Smart Economy(スマートエコノミー・経済活動)
・Smart Learning(スマートラーニング・教育)
・Smart Mobility(スマートモビリティ・交通)
・Smart Governance(スマートガバナンス・行政)

このフレームワークについては、ウィーン工科大学が開発したモデルをメインとし、わかりやすいように表現を一部アレンジした。
スマートシティは、「私たちヒトの暮らしが、環境に配慮しながらもっと良くなるには?」を中心に考えると想像しやすいだろう。

引用:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57031

─ YODOQの見方───────────────────────────

スマートシティの中でも行政サービスについては世の中のデジタル化の流れから大きく取り残されているといえるだろう。
様々な書類は電子申請できないため役所に行かなければならない、同じような内容を繰り返し記入しなければならないなど遅れている感はいなめない。
その理由として、日本にある約1700の地方自治体がそれぞれの予算の中でシステム開発を行う現状がある。
異なる部分があるもののこれら地方自治体において共通した機能も多いスマートシティ化の流れは各自治体独自で開発を行うのではなく横断的にスマートシティ化することがコストの面、標準化の面で重要であると考えられる。
例えばエストニアではデジタル化が進んでいて、行政手続きの99%がオンライン上で可能となっている。エストニアは人口約130万人強で、規模は日本でいえば政令指定都市に近い。そう考えると、日本でも地方自治体のサービスを住民の方に効率よく届けられるはずである。
このような考えのもと地方自治体のスマートシティ化で実績のあるアクセンチュアと三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる標準化されたオープンプラットフォームの構想は多くの自治体の興味を誘っている。
エストニアではスマートシティ化によりGDPの2%のコスト削減に成功したといわれている。日本は各自治体のシステムが乱立している状態なので、クラウド上のオープンプラットフォームでデジタルガバメントを実現できたら、それ以上のコスト削減効果が期待できるだろう。浮いたリソースを別の戦略的なところに使うことも可能となる。
重要なポイントは各自治体の個別の意見の踏襲ではなく、市民・国民目線でどのような機能が必要なのかというグランドデザインを描いた上で要望を共通プラットフォームとして実装するかどうかを決定する力が必要となり、コンサルティングファームにはその能力が問われている。
プロジェクトによく見受けられるように、発注者の指示どおりに作ってしまい、各自治体の要望を取り込みすぎて使えないものとなるのではなく、自治体ごとに異なる課題を集約し、あるべき行政サービスの姿を描くことが必要だ。電力供給の最適化や道路交通の効率化など標準化するところは行い、高齢化が進む地域での介護サービスに係るところなどは個別に考えるなど無駄のない設計が必要となる。

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