伝説的ピアニストAIは人を感動させるか
ヤマハは、1982年に亡くなった伝説的なピアニストであるグレン・ゴールドのAIを開発し、そのコンサートの模様を動画公開した。
今までにもピアノの自動演奏は各社で行われてきたが、今回のグレン・ゴールドAIは、他の自動演奏と大きく異なる点が2点ある。
1点目は世界初「深層学習開発」であるという点である。グレン・ゴールド本人の演奏データ、さらにはグレン・ゴールドの弾き方の癖を知っているプロのピアニストの演奏データをもとにして、タッチやテンポといった細かい点もグレン・ゴールドに近づけている。また、これらのデータからグレン・ゴールドの弾き方を学習することで、学習した曲以外の全く新しい曲もグレン・ゴールド風に弾くことも可能にしている。
2点目は、人間の演奏を先読みできる点である。共に演奏する演奏者の手の動きや目の動きをリアルタイムでデータとして取り入れ、呼吸を合わせて協調して合奏することを可能にしている。
参考記事:
伝説のピアニストをAIで蘇らせた「Dear Glenn」プロジェクト、コンサート映像を公開 人との共演も
ヤマハ グレン・ゴールドAI紹介ページ
─ YODOQの見方───────────────────────────
実際にグレン・ゴールドAIコンサートの動画を見てみた個人的な感想は、まだ機械的な感じが抜けていないなという感じだった。動画であったため、鍵盤だけが動いている、という視覚的な違和感も加味されているかもしれない。
人間のピアニストとの連弾動画も公開されていたが、こちらも、息ぴったりとはいえない、と感じた。
しかし、別の動画Dear Glenn – Documentary Filmではグレン・ゴールドと交流のあった方に演奏を聴いてもらう、といったものもあり、こちらではグレン・ゴールドAIの演奏に感動している様子も映し出されていた。
「AIはどこまで人の心を動かせるのだろう。」
これはヤマハのグレン・ゴールドAIページの冒頭にも書かれている。
私自身は、音楽を含む芸術的な面でAIが人を感動させることには懐疑的であったが、この動画を見て、AIが人を感動させることの可能性を感じた。