カルロス・ゴーン被告はなぜ逃亡したか

日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告が、保釈中に中東のレバノンに逃亡。
東京地方裁判所は、元会長が納めていた総額15億円の保釈金の全額没収を決定した。
15億円の保釈金没収は過去最高額とみられている。
参考:
NHK NEWS WEB『ゴーン被告の保釈金15億円没収 過去最高額か 東京地裁』2020年1月7日付

─ YODOQの見方───────────────────────────

様々な報道、ニュースなどを見て、保釈や保釈金は芸能人、資産家などごく一部の人にしか関係のないものだと感じていたが、実際は異なることがわかった。

保釈とは
起訴されてから第一審までの勾留期間中、身柄を釈放されること
通常は、家族など身近な人に会って説明をしたり、今後どうしていくかを話し合う期間

保釈金とは
例えるなら「人質」
正確には「保釈保証金」と言い、保釈の際に逃亡防止や裁判所への出頭を確保するために、被告人から裁判所に納付するお金のことをいう。

1.保釈金はそこまで高額ではない
報道やニュースでは、保釈金数千万、数億といったものが大きく取り上げられているが、通常は150~300万円程度である。
保釈金の額は被告人の財産状況などによって決定され、年収400万円を基準とした額が上記である。
芸能人や資産家はより高額になる場合も多い。

2.保釈金は大人しくしていれば返金される
第一審への参加、届け出のない引越しをしない、外国へ逃亡しない、などいくつかの取り決めを破らなれば、保釈金は判決後に全額返金される。
今回、カルロ・スゴーン被告は、海外へ逃亡したことで保釈金が全額没収されたが、保釈金はあくまで、被告が逃げないための「人質」としての役割を果たす。

3.保釈は一般人でも許可される
保釈金はそこまで高額ではないと述べたが、それでも一般人にとって数百万円を準備することは困難な場合もあるだろう。
そのような場合は、保釈金の立替制度保釈金融資などを利用することができる。
近年では、このような制度を利用してか、保釈率が徐々に上昇しており、平成30年度の保釈率は約33.7%、一度でも勾留された人のうち、約1/3が保釈されている。
参考:一般社団法人 日本保釈支援協会 保釈に関する数値データ

カルロス・ゴーン被告はなぜ逃亡したか、これらの情報をもとに考えてみた。

まずは、少なくても数百億の資産があると言われている(逃亡などでいくらか減少したかとは思うが)被告にとって、15億円という金額は少なすぎると感じた。

また、日本の司法が嫌で逃亡した、との見方もある。
保釈制度は性善説を基盤にしており、保釈中にもし逃亡しても日本の法律では追加の罰は与えられない。保釈金が没収されるのみである。
さらに、日本は世界と比較して勾留期間が長いと言われている。有罪とも無罪ともいえない状況で長期間劣悪な環境で暮らすことを余儀なくされる制度には批判の声もある。
法律は簡単には変わらないとは思うが、被告を含め特に外国人にとって逃げたくなるような法律だと感じた。

今後は、被告に対する海外からの評価も考えていきたい。