無印良品が「コオロギせんべい」発売

無印良品が食用コオロギを原料にした「コオロギせんべい」をネットストアで販売したところ、5/20の発売日当日に即売り切れとなった。
無印良品では6月中旬に販売再開し、今後は店舗でも取り扱う定番商品にしていく予定。
このせんべいは一袋55g中に30匹の「コオロギパウダー」が含まれ、えびせんべいのような香ばしさが特徴とのこと。

無印良品「コオロギせんべい」の衝撃 ネットで即日完売なぜ人気?

徳島大学発ベンチャー「グラリス」で生産した食用コオロギを原料に開発、製造する。
加工の過程でどの程度「昆虫感」を残すかの調整や、製造過程で現れる「虫の脚」が原料由来か、異物混入か区別ができない問題への対応など、昆虫素材ならではの開発の悩みがあった模様。

昆虫食は国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)への対策として注目され、カナダ・フィンランドなどの先進国で開発が進んでいる。

いま注目される「昆虫食」 世界の最新事情、記者が食べながらルポ

畜肉の代替食材としてのコオロギの特徴としては以下のような点が挙げられる。
・タンパク質含有率60%(牛鶏豚の3倍近く)
・ミネラルが豊富
・生育が早く、雑食で養殖のコストが安い
→必要な水が少なく、温暖化ガスの排出量が抑えられる

無印良品の商品開発もフィンランドを視察したことで立ち上がったプロジェクトで、商品ストーリーを伝え、社会的意義を問う取り組みとなっている。

─ YODOQの見方───────────────────────────

無印良品のような啓蒙活動をきっかけに、日本でも昆虫食が普及するのか、我々の食文化が塗り替えられるようなことがあるのかを考察してみました。

Cross Currents 日本人の食生活の変化

過去数十年の日本の食生活に関する資料を探ってみました。大雑把な分析として、
・敗戦直後の食糧不足を主因として、コメよりも穀物を多くとった(1955年ごろまで)
・伝統的なコメ食が復活(1965年ごろまで)
・都市人口の増加や学校給食の普及で、コメ食が減り、肉と乳製品の消費が伸びる(~現在)

という傾向があります。このデータ中では40~50年間の最大/最小比で7倍ほど肉食が伸びたという結果になります。

極端な例ですが、数値上は数十年かけて食文化が更新されるということはありえそうです。ただし上記の例は政治的な背景も含めて外国の食文化が輸入されたとも捉えられます。

しかし現時点では盛んとは言えない「昆虫食」が自分が生きている間に定着する姿は想像しづらいものです。
「地球上で人類の繁栄を持続させるため」という壮大な目標があるとはいえ、義務感から「昆虫を食べる食文化」が浸透するのでしょうか?

「株式会社昆虫食のentomo」のサイトには以下のような記述がありました。

株式会社昆虫食のentomo 昆虫食 超ぶっちゃけQ&A !!

昆虫食を推進する立場の会社ながら、他サイトで推されているような「食糧難を救う」「地球環境によいことずくめ」のような記載がなく、「当社は科学的に公平中立な観点から、両論併記を旨としています。」と記載されています。
この会社が提示している以下のような見方は「昆虫食文化が浸透していくか」という疑問に対して十分な説得力を感じます。


Q 先進国で虫を食べる必要があるの?
A 必要はありませんが、美味しくて栄養価があるから食べるようになるでしょう

Q なんで先進国で昆虫食が廃れたん?
A 先進国で昆虫を食べるのは非合理的・・・昆虫食は栄養価が高いので、安くて美味ければ、「食糧難」とか関係なく普及していくでしょう。