忍者の生き方を考える

(CNN) 三重大大学院に新設された忍者研究の修士課程で、世界初の修了生が誕生した。
三橋源一さん(45)はこの2年間、同課程で忍者の歴史や忍術を学んできた。
忍者がかつて自給自足の農耕生活を営んでいた伊賀の地に移り住み、自ら米や野菜を栽培しながら旅館を経営。忍術を教える道場も開いている。
三重大には2017年に忍者研究センターが開設され、翌年から忍者・忍術学専攻のコースがスタートした。伝統的な戦法や武術、身を隠しながら山間部を移動する方法なども学ぶ。
担当の山田雄司教授によると、三橋さんは熱心な学生として研究に没頭してきたという。
今後は引き続き、博士号の取得を目指す。三橋さんは「現代の日本にとって、自分自身が生き抜くために自立生活を送るのは重要なことだ」と話し、グローバル主義の時代は終わったと主張している。

引用:『世界初の「忍者学」修士号取得、三重大大学院の三橋さん』CNN.co.jp 2020年7月2日付

─ YODOQの見方───────────────────────────

忍者の精神である「忍び」とは、

1 隠れたりして、人目を避けること。人に知られないように、ひそかに物事をすること。→お忍び
2 がまんすること。こらえること。

(goo辞書より抜粋)

また、「忍」という漢字は、上が「刃(やいば)」下が「心(こころ)」から成り立っている。つまりこの字は、心臓に刃物が突きつけられるような危機的状況であっても動じずに冷静に考え、自分の意思を変えないという強い心をあらわしている。

引用:『第12回 「忍」のもつ意味』伊賀ポータル

私はこの精神が、最近読んだ本『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬 著)と繋がるものがあると感じた。
人と比較したり、悪い人/いい人を判断してしまったり、昔されたことにいつまでも捉われてしまっている、といったことはすべてただの「妄想」であり、「妄想」であると自覚することが大切で、「妄想」に捉われず自分を正しく理解する、自分をもつことが重要だと書いている。
参考本:Amazon『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』(草薙龍瞬 著)

近年ではSNSの発展によって承認欲求は満たされるはずである。
マズローの5段階欲求では、承認欲求が満たされれば、より高次の自己実現欲求に移行するはずであるのに、これらの考え方を欲しているのはなぜか。
調べていくと、近年のSNSでは、承認欲求は満たされるものの、より低次の社会的欲求が満たされていないのではないかという意見があった。

今のSNSは、社会的欲求(帰属欲求)を置き去りにしたまま、承認欲求ばかりが肥大化している歪な存在とは言えないだろうか。
最近の「SNS疲れ」「SNS離れ」現象は、「インスタ映え」に象徴されるような承認欲求全開のSNSが衰退するサインであると同時に、社会的欲求(帰属欲求)へと回帰するプロセスなのかもしれない。

引用:beehave 「心を動かす」WEB広告の情報メディア『マズロー欲求五段階説が示唆する、フェイスブック・インスタグラムの未来とは?』

忍者の生き方、というのはSNS疲れや情報にあふれた現代にも通じるものだと感じた。

三重大学では、忍者・忍術学講座のyoutube配信も行っているようだ。
興味があれば覗いてみるのも面白いかもしれない。
三重大学 人文学部・人文社会科学研究科 忍者・忍術学講座