I was a Sari:アップサイクルとファッション

利益幅が最優先されるファッション業界で、女性のエンパワーメントを理念に環境的・倫理的なアプローチをとる社会課題解決型のファッションブランドがあります。インドの「I was a Sari」です。

同ブランドでは、職業訓練を受けた貧困層の女性たちが伝統衣装サリーの古着をアップサイクリング(元々のものよりも質や価値が高い商品を作る再利用)した洋服やバッグなどを販売しています。

創立者のステファノ・フナリ氏は、ノーベル受賞者のユヌス氏に影響を受け、恵まれない女性たちに定収入を得る機会を提供して力を与えることを使命とする同ブランドを立ち上げました。全利益を事業開発や女性のエンパワーメント推進に再投資する「配当ゼロ」を実践。ブランドの社会的・環境的・経済的影響の分析と相互関係を常に把握する、持続可能で環境に優しいビジネスモデルを行っています。

引用:『I was a Sari:作り手の女性の人生もアップサイクルする社会課題解決型ファッションブランド』幸せ経済社会研究所 2020年7月2日付
参照:I was a Sari WEBサイト

─ YODOQの見方───────────────────────────

アップサイクルとは何か?

アップサイクル(Upcycle)とは、リサイクルやリユースとは異なり、もともとの形状や特徴などを活かしつつ、古くなったもの不要だと思うものを捨てずに新しいアイディアを加えることで別のモノに生まれ変わらせる、所謂”ゴミを宝物に換える”サスティナブルな考え方です。

引用:一般社団法人日本アップサイクル協会

リサイクルは一度原料にしてから別の物に再利用、アップサイクルはそのままの形を活かして再利用、という違いがあります。
アップサイクルは衣服の端切れ、木材の端材、段ボールなど本来捨てられるはずだった様々なものが材料になりえますが、布の端材を利用したファッション業界の取り組みが最も大きいようです。
生産過程だけで年間500万トンを超える生地がリサイクルされずに廃棄されているという調査結果もあるようです。
今回ご紹介した「I was a Sari」でも、端切れがスカートやハンドバッグ、サンダルなどにアップサイクルされていました。

その他にもいくつかの事例をご紹介します。
1.ユニクロ
フィリピンを中心として、店舗でジーンズのすそ直しをした際に発生する端切れを利用したトートバッグやポーチなどのグッズを制作しています。
ホームレスなどへの就労支援も含んでおり、2017年度は20名で約2,400個のグッズを制作したそうです。

2.ビームス
ビームスクチュールというアップサイクル専門のブランドがあります。
ビームスの倉庫に眠るデッドストック品を材料として、手作業で世界に一つだけの洋服を作成する、という取り組みです。
参照:BEAMS COUTURE WEBサイト

現在は、特に、アップサイクル発祥であるヨーロッパを中心に広まっていますが、今後は日本でも広まっていくのではないでしょうか。