永久凍土下にコードを保存する「Arctic Code Vault」バージョン1.0達成、GitHubが報告。1.4トンの保管庫を設置

GitHubは2019年に発表した、オープンソースのコードをノルウェーにあるスヴァールバル諸島の永久凍土層の地下に1000年以上保存するプロジェクト「Arctic Code Vault」において保管庫の設置が完了し、プロジェクトとしてバージョン1.0を達成したと報告しました。保管庫は1.4トンの鋼鉄製で、その重要性が視覚的に示されるように外側には芸術家のAlex Maki-Jokela氏の手によるAI生成アートが刻まれています。
・コードだけでなくコンピュータの基盤技術やWikipediaなども保管
この保管庫の中には、GitHubの2020年2月2日時点の主要なオープンソースコードのスナップショットだけでなく、人間が読めるドキュメントとしてコンピュータやソフトウェアの基盤技術についての解説、Wikipedia、StackOverflowなどのテキストのフルコピーが含まれています。これにより、ソースコードだけでなくコンピュータに関する技術や文化についても1000年以上保管されることになります。
万が一、何らかの事象により人類が現代のコンピュータ文化を失ったとしても、この保管庫に保存されたコンピュータの基盤技術やそこで実行可能なコード、そしてそれを作っている人たちの自然言語によるやり取りが、おそらく残るでしょう。そしてそこから再び現代のようなコンピュータ文化を再構築する手がかりが得られるわけです。
ちなみにこのArctic Code Vaultの近くには、世界中の種子を冷凍保存する「Svalbard Global Seed Vault(スヴァールバル世界種子貯蔵庫)」もあります。GitHubはこの保管庫の設置完了によって、2019年に発表したアーカイブプログラムのバージョン1.0が基本的にすべての目的を達成したと説明しました。同社によるとアーカイブプログラムは継続的な取り組みであり、今後も新たな取り組みについて発表していくとしています。

引用:https://www.publickey1.jp/blog/22/arctic_code_vault10github14.html

─ YODOQの見方───────────────────────────

データを倉庫内に保存する仕組みとしては以下のようです。

リポジトリ → アーカイブ(tar)化 → QRコード変換 → 光学フィルムへ書き込み → パッキングして保管庫へ格納。

保存されるデータ量は21TB分で、対象データが書き込まれた光学フィルムのリールは186巻となっています。
耐久性の高い物理バックアップといえば磁気テープが挙げられますが、本プロジェクトの目的である1000年以上の保管という点で、容量が小さくとも物理的な耐性の強いQRコードが採用されたと推測できます。
QRコードは日本の企業である株式会社デンソーウェーブが1994年に、主に製造業と物流業の製品管理を目的として開発されました。
近年ではキャッシュレス決済やWEBページへのリンク、本人認証などでも使われており、開発者である原 昌宏氏もQRコードの応用シーンがここまで広がるとは全然考えていなかったと発言されています。
QRコード自体も格納可能な情報量の増加やセキュリティ対応可能なものなど、進化し続けているので今後も活用の幅は広がりそうです。