NISA拡充、現役世代の投資促す

政府が28日決定した「資産所得倍増プラン」では、株式などの運用益の一定額を非課税にする「少額投資非課税制度(NISA)」の拡充が明示された。非課税期間の無期限化などで、安定して資産を形成できる環境を整備し、中間層を中心とした現役世代に「貯蓄から投資」を促す狙いだ。

NISAは、株や投資信託を買う「一般NISA」と、投信などを少額ずつ毎月積み立てる「つみたてNISA」がある。
ただ、それぞれに時限措置が設けられており、仮に30代で今からつみたてNISA(利用可能期間は令和24年まで)を利用したとしても、定年退職を迎える60代前に新規の投資はできなくなる。そのため証券業界からは「このままの制度では、老後の資産形成に向けて十分活用できない」といった問題点も指摘されていた。

さらに、一般NISAは6年に制度が改められ、一定金額の積み立て投資の併用が条件となる2階建て構造になる予定だが、「複雑になり、使い勝手が悪い」との批判も相次いでいる。

こうした課題に対応するため、今回提示された拡充案では、2階建て構造への見直しを改め、各NISAの非課税期間の無期限化や非課税投資枠を拡大し、より簡素な制度に作り直す。個人が好きなタイミングで制度を活用し、非課税で長期間の資産の運用をできるようにすることで投資増加の呼び水としたい考えだ。

引用:<Yahooニュース>
https://news.yahoo.co.jp/articles/b7efa9958f9b6a0270b9a9cc889bde1f900645d8

─ YODOQの見方───────────────────────────

政府の資産所得倍増分科会の報告内容を調べて具体的にどのようなプランが検討されているか調べてみました。

■目標
今後5年間で、NISA口座数・買付額を倍増
 口座数:1700万口座 → 3400万口座
 買付額:28兆円 → 56兆円
これらの目標達成を通じて、中間層を中心に安定的な資産形成を実現するため、長期的な目標としては資産運用収入そのものの倍増を見据えて政策対応を図る。

■プラン内容
①NISA制度の恒久化
【現状】
 一般NISA(一人当たり 120 万円/年、5年間非課税)
  2023年まで投資可能期限 → 2028年まで延長
 つみたてNISA(一人当たり 40 万円/年、20 年間非課税)
  2037年まで投資可能期限 → 2042年まで延長
非課税期間に期限が存在することで、長期で保有を継続するというメリットが生じにくい制度になっている。
主な検討内容には下記のような内容があげられる。
・一般NISAとつみたてNISAの双方について、恒久化を実施
・非課税保有期間については、生涯の上限枠を設けたうえで、金融商品から得た利益が非課税となる期間を無期限化
・一般NISA及びつみたてNISAそれぞれの投資上限額の増額を図る

②iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革
・iDeCoの加入可能年齢を70歳まで引き上げ
(高齢者の就業機会確保の努力義務が70歳に伸びたことによる勘案策)
・2024年の公的年金の財政検証に併せて、法制上の措置を講じる

③中立的なアドバイザーの認定や支援を行う
消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促す仕組みを創設することとし、中立的なアドバイザーの認定や支援を行うことを定めた法案を次期通常国会に提出。
(令和6年中に新たに金融経済教育推進機構(仮称)を設置)
あわせて、職場を通じた資産形成の促進、金融経済教育の強化、国際金融センターの実現、顧客本位の業務運営の確保などを図り、貯蓄から投資へのシフトチェンジを実現する。

④雇用者に対する資産形成の強化
企業を通じた雇用者の経済的な安定への取り組みを活性化するため、職域における中立的な認定アドバイザーを活用する取り組みを企業に促す。
具体的には、雇用者が中立的な認定アドバイザーを活用する場合に企業から雇用者に対して助成を行うことを後押しする。
また、既に一部の企業で実施されている雇用者向けの企業内インセンティブ・ポイントプログラム(雇用者に対して資産形成や関連サービスへの活用可能なポイントを配布するもの)の横展開を図る。
さらに、企業内に設置される雇用者向けの資産形成の相談の場において、中立的な認定アドバイザーを積極的に活用することを促す。
従業員が職場つみたてNISA や従業員持株会に投資する際の企業の奨励金について、課税に関する取扱いの検討を行う。
中小企業において職場つみたてNISA や企業型確定拠出年金、iDeCo が広がるように、これらの制度の普及に取り組むとともに、必要な支援について検討を行う。

このように、消費者に投資を促す政策が政府分科会で検討されており、この2、3年で投資制度に関する法整備、仕組みが大きく変わってくるため、皆さんもこの先を見据えて投資を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:<内閣官房分科会等開催状況>
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/index.html