2026年完成予定の「サグラダ・ファミリア」がすごすぎる! 驚異的な工期短縮はなぜ?

着工から100年以上が経過しても今なお建設途中という、珍しい世界遺産「サグラダ・ファミリア」。
2005年にユネスコの世界遺産に登録されましたが、当然その当時サグラダ・ファミリアはまだまだ未完成。かろうじて完成している建物のみという、部分的な世界遺産登録は世界でも異例と話題になりました。
なぜそんなに建設に時間がかかるのか、誰もが不思議に思うところですが、そもそもサグラダ・ファミリアの全貌は設計者であるガウディの頭の中にしかなかったとも言われており、頼りにできるのはたった1枚のスケッチのみ。ガウディ亡き後弟子たちがこしらえた数々の資料もスペイン内戦で焼失してしまうというアクシデントに見舞われ、常に手探り状態で建設を進めていくしかなかったようです。
思うように建設が進まないことにより、着工からすでに長い年月が経過しているサグラダ・ファミリアは、新しい部分を作ると同時に完成部分の補修もしなければならない始末で、完成には実に300年以上を要するとも言われていました。
それがなんと着工からおよそ150年、つまり当初の半分の工期で完成する予定であることが発表されました。さらに、2026年完成予定と発表された完成予想図の動画は我々の想像をはるかに上回るもので、世界中から二度どよめきの声が上がりました。
・サグラダ・ファミリアとは
スペイン北東部のカタルーニャ州の州都バルセロナ、旧市街アシャンプラ地区に残る、アントニオ・ガウディ(1852~1926年)の作品群の一つ。
彼の代表作として世界的に有名である。民間カトリック団体のサンホセ協会が、貧しい人々のための教会として建設を計画したもので、建築家フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受け、1882年3月19日に着工した。しかし、その翌年、ビリャールは意見の対立から設計者を辞任し、その後任として、当時無名だったガウディが設計を引き継いだ。ガウディは一から設計を練り直し、1926年に死去するまでライフワークとしてその建設に取り組んだ。
現在、東の「キリストの生誕」、西の「キリストの受難とその死」、南の「キリストの栄光」の3つのファザードはすでに完成しているが、いまだに建設途上で、その完成は今から100年後とも200年後とも言われている。

引用:Tripα(トリパ) 2018/9/6
   コトバンク サグラダ・ファミリア

─ YODOQの見方───────────────────────────

どうしてこんなにも完成しないのか、それが何故いきなり早まったのか、について調べてみました。

完成しない理由
1.費用
ひとつは建築にかる費用。サグラダ・ファミリアはカトリックの教会である。
その為、もともとの建築費用は、個人の寄付によるものだけだった。ガウディも名誉と自分のアピールになると無償で設計を請け負った。現在は、それに加えて観光収入がある。
2.複雑な装飾と失われた図面
ガウディは詳細な設計図を描かずに進めていた。建築のイメージは自身のスケッチで伝えていた。しかし建築途中で事故によりガウディが亡くなってしまい、全体像を知るものがいなくなってしまった。またスペインの内戦により、残された資料もほとんどが失われてしまったのだ。
現在はガウディの残した資料や思想から推測しながら工事が行われているのだ。
3.神は急いでおられない
これはガウディが言ったとされる言葉である。
ガウディは急がず、作り続けることを望んだと言われており、弟子たちはこの言葉を忠実にまもったのではないか。
20世紀初頭、世界は既に近代化の波に呑まれていた。スピード、効率化、経済第一主義に一石を投じる言葉なのではないだろうか。

完成が早くなった理由
1.費用
先ほども書いたように現在は入場料も建築費用に当てられている。観光客の増加により費用の面はまかなわれるようになってきており、加えてバロセロナ市が正式に認定したことにより、市の予算も2019年から投入されることが決定している。
2.建築技術の発展
ガウディの独特な造形は、図面を描くのも作るのも難しい。ガウディが当初図面を描かなかったと言われているが、描けなかったのではなないかとも思う。
しかし現在では3Dの解析と設計ができるようになり、この技術の進歩が画期的にスピードを上げた。
用いられている主なIT技術は次の3つである。
・3D CAD
・3Dプリンター
・CNC加工機
これらによって、主に次の分野での効率が飛躍的に高まった。
・構造計算が速くなった
・模型を作るのが早くなった
・模型から石材を削りだすのが早くなった
また記事にはなかったのだが、恐らくドローンも用いられているのではないか。
かって、巨大な建築物を俯瞰的に見ることは気球でも飛ばさない限り不可能であったと思われる。現代では、外装、内装とも実際に目で見ることが、実にたやすくなっている。

今の建築の様子をガウディが見たらどう思うのだろうか。「神は急いでおられない」この言葉を読む限り、現代の技術を駆使して素早く作ってしまうことが正しいのかは、判断が分かれるところだと思う。
ただ、職人達が百年以上かけてもなし得なかったことを、数年でなし得てしまうコンピューター技術の凄みを、しみじみと思った。
さて、2026年、8年後、僕が今の気持ちを持ち続けていられたら、見に行ってみよう。

参考:ミライノシテン 2016/8/23
   日本経済新聞 23014/12/5