最適な交通検索、予約も支払いも 国交省がアプリ基盤
国土交通省はアプリ1つでマイカー以外で目的地に行く最適な交通手段を検索し、予約や決済まで完了できる消費者向けシステムの構築に乗り出す。
この仕組みが成り立つと、スマートフォンのアプリに目的地を入力するだけで、最適な経路が検索される。ここまでは従来の仕組みでもあるが、さらに各径路の予約や決済まで完了し、スマートフォンを見せるだけで目的地にたどり着くことができるようになるという。
引用:日本経済新聞 2/3朝刊
このような仕組みはMaas(Mobility as a Service)と呼ばれる。フィンランドでは2016年からWhimというMaaSサービスがスタートしており、公共交通機関、自家用車やタクシーの利用率が大きく変動している。
引用:MaaSアプリ「Whim」とは? 仕組みやサービス内容を紹介
日本では東急電鉄、小田急電鉄やパーク24などの会社が実証実験をはじめており、国土交通省がこれらの実験を後押しする形になる。
─ YODOQの見方───────────────────────────
なぜ、民間ではなく「国土交通省」がアプリ基盤を提供するのか?
次世代モビリティサービス分野で、Whimを含めた外国の企業が進出して自由に競争した場合、日本の民間企業はどれだけ存在感を発揮できるだろうか?国がプラットフォームを整え、外資と日本企業が対等に競争できる状況をつくることが国策として必要になるという考えがあるようだ。
参考:日経新聞1/21コラム 国家戦略であるべきMaaS 交通の覇権を他国に譲るな
スマートフォンのOS、主要なアプリケーションのほとんどは米国のプラットフォーマーたち(GAFA)が作っている。中国は「情報鎖国」によってこれらの企業を国内市場から締め出し、BAT(百度、アリババ、テンセント)など自国産業を育てることで対抗した。ヨーロッパはGDPR(一般データ保護規則)をうちだし、巨額の制裁金でプラットフォーマーをけん制している。
「MaaSは国家としての産業政策上、極めて重要」であるから、日本でも同様にプラットフォーマーへの対抗措置が必要になるとの理屈だ。
ビッグデータ市場、AI分野で既に「出遅れた」日本にとっては、もともとの得意分野であるモノづくりと密につながるMaaS分野での独自プラットフォーム開発は、国家として世界的な競争に参加するための残り少ない土俵なのかもしれない。
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■備考
総務省でもMaaSについての研究と情報発信を行っている
総務省 情報通信白書「次世代の交通 MaaS」