アルコール消毒はインフルエンザには効果なし?
最近、体調を崩す社員が増えてきた。
インフルエンザも沖縄、九州を中心に早めに流行する兆しがある。
アルコール消毒がインフルエンザには効果が薄いのではないか、という研究結果を紹介する。
9/25の読売新聞での記事において、インフルエンザ対策に使われるアルコール消毒は、ウイルスが痰などの粘液に含まれた状態の場合、殺菌効果が弱まるとの研究結果が発表された。
京都府立医大の広瀬亮平教授は、食塩水と粘液の痰にそれぞれA型ウイルスを含ませ、一般的な消毒薬を作用させ、ウイルスが不活性化するまでの時間を比較した。結果、食塩水中のウイルスは30秒以内で殺菌できたが、痰の中では2分経っても感染力が維持されていた。広瀬教授は、手で口を押さえて咳やくしゃみをした場合、ウイルスを含んだ鼻水や痰が付着、水で洗い流せない場合は、消毒薬を30秒以上、手に擦り込む必要があると話している。
『「たん」に守られるウイルス、アルコール消毒だけでは「感染広げかねず」』
─ YODOQの見方───────────────────────────
アルコール消毒の効果
1.細胞膜の脂質を溶かす
エンベロープ(脂溶性の膜を持つ)インフルエンザウイルスを溶かす。
2.タンパク質の性質を変える
タンパク質の構造を変化させて機能を失わせる効果がある。感染力の低下をもたらす。
3.脱水作用
エタノールは非常に揮発性が高い液体なので細胞内部に入るとすぐに揮発して蒸発する。細胞を乾燥させる働きを持つ。
上記を踏まえると、アルコール消毒はインフルエンザに効果があることがわかる。
しかし、実験で行われた痰など、水分が付着した状態でのアルコール消毒は効果が薄い。濃度80%のエタノールが最も効果があると言われているが、水分が付着することで濃度が下がるためである。
また、エンベロープウイルスでないなど、アルコール消毒ではほとんど効果がないウイルスも多いため、病気の予防のためにはしっかりした手洗いが最も重要である。
1日に5回以上、石鹸で手を洗うと感染率が3割低下、10回以上手を洗うと5割ほど低下することもいくつかの研究で明かされている。
体調を崩しやすい季節、病気の予防のために手洗いに気をつけていきたい。