自社システムをクラウドに載せるべきか?
お客様のお悩み
直近、販売管理や在庫管理システムの入れ替えについてのご相談が増えています。
大阪という土地柄か、初期コスト、ランニングコストに注目されるお客様が多い印象です。
- 「パッケージを更新しようとしたが、全機能の半分も使っていなくて投資回収として疑問」
- 「カスタマイズ費用を積み上げると、いっそ自社に合わせたシステム開発の方が安いのではないか」
- 「クラウドにすると高くなるのではないか」
今回は、「オンプレミス vs クラウド」というテーマで、自社システムのあり方を考えてみたいと思います。
オンプレミスとクラウド、どちらが安いのか?
社内にサーバーを置く形態をオンプレミスと呼びます。サーバー本体だけでも40万円~という価格帯になるでしょう。
一方、クラウドサーバーは初期費用が抑えられ、月額課金(サブスクリプション)型が主流です。一見するとクラウドのほうが安く見えます。
利用規模や契約形態によっては、数年単位で見るとクラウドの累積費用がオンプレミスを上回るケースもあります。
ただし、ここで単純比較してはいけません。
オンプレミスサーバーでは、小規模構成であっても月3,000円程度の電気代が発生し、構成や空調状況によってはさらに増加します。
他にも
- サーバーラックと配置スペース
- 無停電電源装置(UPS)
- バックアップディスク
- 24時間空調
- 機器点検・保守の人件費
といった“見えにくいコスト”が積み上がります。
机上の価格比較ではなく、運用の現実を含めて判断する必要があります。
会社経営の観点からは資産計上して減価償却する(オンプレミス)のか、毎月の経費として処理する(クラウド)のかは、キャッシュフローや利益計画にも影響するため、経営判断として重要な視点です。
スケール変更の柔軟性
クラウド、とくにPaaS環境では、サーバースペックの変更や増設が比較的容易です。
小さく始めて、利用状況を見ながら最適化する――いわゆるスモールスタートが可能です。
オンプレミスの場合、ディスク増設やメモリ追加には計画停止が伴います。業務停止の影響も無視できません。
将来の成長を見込む企業にとって、拡張性は大きな判断材料になります。
BCP(事業継続計画)の観点
落雷による停電、サーバークラッシュ。
UPSを導入していても「実はバッテリー切れだった」という笑えない話もあります。
クラウド事業者のデータセンターは、自家発電設備や多重化構成により高い可用性を確保しています。災害リスクの分散という点では大きな強みがあります。
ただし、「外部にデータを預ける」という心理的ハードルも無視できません。
ネットワークは必須条件
クラウド利用には安定したインターネット接続が前提です。
現在の回線品質は安定していますが、重要業務では回線の二重化など冗長構成も検討すべきでしょう。
セキュリティはどちらが安全か?
クラウドはインターネット経由でアクセス可能な環境にあります。
インターネットというオープンな環境の性質上、ハードウェア、OS、アプリケーションの各層での対策が必須です。
一方オンプレミスでも、物理的な盗難リスクは存在します。鍵付きラック、床固定、入退室管理などを行って初めて「安全」と言えます。
クラウドは物理セキュリティの面では一般企業より高水準であることが多く、最終的には“場所”よりも“設計と運用体制”が安全性を左右します。
Windows+SQL Serverは本当に最適か?
WindowsとSQL Serverの構成に安心感を持つ企業様も多いでしょう。しかし近年、OS・ミドルウェアのライセンス費用は上昇傾向にあります。
LinuxやMySQL(MariaDB)といったOSSを活用すれば、コスト効率は大きく改善します。
クラウド版パッケージであっても、中身がWindows+SQL Serverである場合、利用料にはライセンス費用が含まれています。
「クラウドだから安い」とは限らないのです。
結論:答えは一つではない
「クラウド化」という言葉が独り歩きしていますが、SaaSとPaaS, IaaSでは意味がまったく異なります。
自社の業務特性、将来計画、ITリテラシー、予算感――それらを踏まえた上で判断すべきです。
この記事を読んだことで、かえって判断が難しいと感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
選択は「単純ではない」という事は理解いただけたかと思います。
豊富なシステム開発、システム運用の現場で培った知見をもとに、御社に最適な選択をご提案します。
大阪の企業様も、その他の地域の企業様もどうぞお気軽にご相談ください。
※本コラム『技術と人のあいだ』では、日々の業務で、お客様への提案や若手エンジニアへの説明をする機会が多くあります。大阪でシステム開発の仕事に向き合う日々の中で、限られた時間では伝えきれないことや、「これも知っておいてほしいな」「前にも同じ話をしたな」と感じることを、ここに少しずつ書き留めていきます。

