電車の定期券に「入会」? 通勤定期をサブスク化する東急のねらい

東急が2021年2月16日(火)から、「新しい通勤の形」を実験しています。
シェアオフィスバス「Satellite Biz Liner」です。コロナ禍を背景にテレワークの普及など移動や働き方が変化するなか、走り出したバスで、「通勤時間を勤務時間にする」というのがポイントです。簡単にいうと、8時間の勤務時間を、通勤バス往復車内で2時間、オフィスで6時間にしよう、というものです。通勤時間が業務時間になるため時間に余裕ができ、家族との時間などが充実するといいます。コロナ禍で働き方や通勤が大きく変化するなか、東急も変化に対応した形です。
ただ東急自体も、コロナ禍でそのあり方を変化させねばならない背景があります。東急電鉄の収入は4割が定期券によりますが、コロナ禍でその販売は減少。東急の森田課長は、「公益事業の鉄道は原価率が高く、売り上げが2割減ると利益が消えてしまうようなもの」といいます。そうしたなか東急は2021年1月から、いかに定期券の販売を減らさずにおけるか、これがテーマのひとつともいえる移動などに関する新サービス「DENTO」の実証実験を開始。「DENTO」ではこのほか、通勤定期券所持者を対象に「1日乗り放題100円チケット」や相乗りハイヤー、クーポンの配布などを実施。またグループの東急でんき&ガスでは「定期券割」も行われています(誰でも使えるサービスもあり)。

引用:https://trafficnews.jp/post/105033

─ YODOQの見方───────────────────────────

私鉄経営モデルとして阪急電鉄の事業モデルが有名です。
全国の私鉄各社もそれに倣ってビジネスを展開しています。
2019年の記事では東急執行役員である東浦亮典氏は私鉄ビジネスモデルには以下の段階があると定義されています。

1.0:小林一三が築いたスタイル
2.0:郊外は再生ステージに入り、中間エリアを中心に職住近接のワーク&ライフスタイルを確立し、鉄道は交流鉄道となる。
3.0:ひとつのICTプラットフォームによって、東急グループの各種サービスが沿線住民・利用者のTPOに合わせてスマートに提供される。

小林一三が築いたスタイルとは、電車を使うことで都市への通勤が可能となる郊外に住宅を建てて販売し、通勤や買い物のための移動手段として電車を利用してもらうというもので、通勤であれば定期券の購入が見込めるため安定した収益を上げることが可能です。
また、現状は私鉄各社は1.0から脱却しておらず、2.0に向けて取り組んでいる状態だとも言及されています。
上記からも今回の東急の事業展開は、コロナ禍でのニーズと見合った、または計画を早める要因になった部分はあるものの予てからの戦略に則ったサービス展開といえそうです。

参考:東急電鉄が目指す新しいビジネスモデル「私鉄3.0」とは何か