更新日:
日本プロ野球選手会は10月10日、選手やその家族に対するSNS上の誹謗(ひぼう)中傷を自動で検出するAIシステムを導入すると発表した。
「選手を誹謗中傷から守るための措置」といい、11日に始まるクライマックスシリーズおよび日本シリーズで運用を始める。導入するのは、英Signify Groupの誹謗中傷検出・通報支援サービス「Threat Matrix」。
日本語を含む42言語と絵文字に対応し、主要SNSの投稿を24時間モニタリングする。誹謗中傷に該当する不適切な投稿を自動で検出し、SNS運営企業への通報や削除申請、プロ野球12球団との情報共有、ダイレクトメッセージへの対応、発信者情報開示請求や証拠保全までを支援する。
選手会によれば同システムは、FIFAワールドカップカタール大会やラグビーワールドカップ2023、テニスの国際大会などでも採用実績があり、英プレミアリーグ・アーセナルFCでは、導入後に誹謗中傷の検知件数が90%減少したという。
選手会は「昨今のオンライン上での誹謗中傷の急増」を背景に、抑止や啓発、関係機関との連携に取り組んできたという。今後も日本野球機構や12球団と連携しながら誹謗中傷対策を強化するとしている。
引用:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2510/10/news126.html
─ YODOQの見方───────────────────────────
システム開発会社としては、このAIシステムの技術面がとても興味深いです。
まず、42言語と絵文字に対応して、24時間リアルタイムでSNSを監視できる処理能力。膨大な投稿の中から、誹謗中傷を瞬時に見つけ出すには、高度な自然言語処理技術が必要です。
しかも、検出して終わりではなく、通報・削除申請・情報共有・証拠保全まで一気通貫で対応できる設計になっている。これは実用性が非常に高いシステムだと思います。もう一つ注目したいのは、「抑止力」としての効果です。
アーセナルFCで誹謗中傷が90%も減ったという実績は、システムが単なる事後対応ではなく、予防として機能している証拠です。「見られている」という意識が、投稿者の行動を変えているんですね。
この事例から、私たちが学べることがあります。それは、「段階的な導入と効果測定」の重要性です。
今回のシステムは、いきなり全試合ではなく、まずクライマックスシリーズと日本シリーズという限定された期間で運用を始めています。そして、アーセナルFCで90%減少という明確な数値で効果を示している。
この「小さく始めて、効果を見える化する」アプローチは、私たちがお客様にシステムを提案する際にも非常に参考になります。
もう一つ注目したいのは、「連携の力」です。このシステムは、SNS運営企業、プロ野球12球団、選手会が情報を共有し、協力して対応する仕組みになっています。
どんなに優れた技術でも、関係者がバラバラに動いていては効果は半減します。システム開発では、技術そのものだけでなく、「誰とどう連携するか」という運用設計まで考えることが、成功の鍵になるんですね。
そして最後に、このシステムが目指しているのは、選手が安心してプレーに集中できる環境づくりです。
技術は手段であって、目的ではありません。私たちがシステムを作るときも、「このシステムで、誰がどんな風に楽になるのか」「本来やるべきことに集中できるようになるのか」という視点を忘れないようにしたいですね。技術で人を守り、人が本来の力を発揮できる環境を作る。
今回のニュースは、そんなシステム開発の本質を教えてくれています。

