DXが解き明かす球の「キレ」
日本経済新聞 『DXが解き明かす、投手の「球のキレ」』 大谷選手やダルビッシュ選手が活躍するMLBでは、トップレベルアスリートの熾烈な競争が行われている。ロケットの弾道測定技術を応用した高度なセンサー技術、超高精度のカメラからボールの回転軸を測定することも行われている。 フライボール革命 統計データから、安打になる可能性の高い打球の速度と角度を抽出すると従来は禁忌とされていた「アッパースイング」をとる打者が増加。 結果、2017年、リーグ全体の年間本塁打数は史上最多を更新した。 このように、DXはビジネスだけでなく近年の野球界を大きく変えたと言われる。 このような背景には全試合全データをあらゆる人に公開し、提供してきたことが大きな要因となっている。 MLBのデータは当初、一部のコアなファンを楽しませる目的で公開されたが、これを物理学、航空力学、ロケット工学などの高度な専門知識を持った人々が解析することで様々な新理論が生まれてきた。 ダルビッシュ投手は投球の回転軸を意識してコントロールする練習をすることで、「球質」を改善し、2020年にはリーグ屈指の脱三振率をマークし、最多勝のタイトルを手に入れた。 ─ YODOQの見方─────────────────────────── 「オープンにすること」で誰でも新たな改善提案を行えるという点で、MLBの取り組みはオープンソースソフトウェアの発展に類似していると言えます。 今や世界中のスマートフォンで利用されている事実上の標準OSであるAndroidもLinuxやJavaを中心とするOSS文化から生まれました。 技術もデータも「オープンにすること」で、当初は想像もしなかった人が、思ってもみなかった使い方を生みだし、さらに技術の発展に貢献するイノベーションの形につながります。 個人情報など保護されるべきデータへの配慮が必要なのは当然ですが、「公開することが将来の価値を増大させる」というスキームは他にも適用する機会はありそうです。 特定の企業や団体だけが収益・資産価値の増大の恩恵を受けるのではなく、社会全体に還元される「イノベーションの理想の形」と言えそうです。 ────────────────────────────────── ■備考 sportiva ヤクルト1位木澤尚文が155キロを投げる理由。 大学生でも身近になったテクノロジーを活用することで、プロに迫るレベルのトレーニングを行うことができる。 過去長い間、「かつての名選手」が非科学的な言葉で「コツ」や「心がけ」を伝えることがコーチやトレーナーの役割でした。 現在では、この役割はテクノロジーによって変革を迫られています。

