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  • 社内で「プロフェッショナル」をテーマに討論会を開いています。
    そんな討論会の内容から不定期でシリーズ掲載したいと思います。


    人物紹介

    鉄道ダイヤ作成(スジ屋) 牛田貢平


    東京メトロ勤続26年のサラリーマン。

    スジ屋とは、ダイヤグラムを作成する人(専門家)のこと。
    ダイヤグラム上で、列車は斜めの線で表わされる。この斜めの線を「スジ」と言うことから
    そう呼ばれる。

    スジ屋の大きな仕事はダイヤ改正のために、列車運行表を作ること。
    中には1日のすべての列車の動きが書き込まれ、600以上の‘スジ’がひかれている。

    牛田氏が表を作る際に最も大切にしているのは、これまでの実績ややり方にとらわれず、
    駅や客(現場)の変化に常に向き合い、そこから考えること。


    プロフェッショナル・エピソード


    episode [A]

    ここ2年の東西線のダイヤ改正の際、朝ラッシュの時間帯のすべての電車にのり、
    すべての駅の状況を把握した。

    各時間帯・各駅での客の乗降を自ら調査し、経験や勘も総動員して決めていく。
    駅に到着する列車や発車する列車を観察し、混み具合などを量る。

    現場の実態を克明に記録し、それにあわせて各列車の駅での
    停車時間を5秒単位で振り分けし直した。

    その結果、朝ラッシュの時間帯の慢性的な遅延は半分以下になり、
    遅れに対する客からの苦情も10分の1に減った。


    episode [B]

    利用者に喜ばれるダイヤ作りのためには、時に上司との衝突も辞さない。

    ある秋、牛田は大きな決断を迫られていた。
    平成22年度のダイヤ改正を行うか否かの選択である。
    もともと会社は、改正を行わない方針。牛田氏もその方針に沿うつもりだった。

    しかし、手元に新たな検証資料が届き、試行錯誤の結果、今からでも改正できると考え
    改正に踏み切れるギリギリのタイミングで動き始める。

    客の利便を少しでも良くしたいという思いからだが、この提案に対し、上司は疑問を呈す。
    会社全体の流れに背いて、改正に向けて動き始める意味と効果は本当にあるのか・・・。

    ※「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」より引用
    http://www.nhk.or.jp/professional/


    討論時の意見

    【肯定意見】

    episode [A]
    ・5秒単位という緻密な世界で、明確な結果を出している。
    ・鉄道会社にとって、最も大切な”客”の満足度を向上させた。IT業界にも通じる。

    episode [B]
    ・ギリギリのタイミングでも、改正に繋がる情報(資料)が手に入れば、上司と対立しても
    考えを押し通す生き方がプロ。見習うべき。

    【否定意見】

    ・自己の「思い」で行動している部分が大きい。

    episode [B]
    ・タイミングが遅い。決断の遅れが致命的となる場合もあるはず。


    その他所感
    ・プロというより、職人と呼べる。

    ・緻密な調査を繰り返した上で、最良と思える結論を出している。
    これは、ソフトウェア開発にも通じるはず。お客様の求める要件をすべて洗い出し、
    それをシステムに具現化する。理想のかたち。

    ・エピソードからは、コストを重視する姿勢が感じられなかった。
    顧客最優先だけでは、様々な要件に対処できないのでは。


    社長の意見
    牛田氏がダイヤ改正を提案することに対しては専門家として正しい判断であるし、その提案を却下するのも経営者として正しい判断なのかもしれません。
    結局究極的な所を突き詰めた場合、どちらが正しい、悪いということは無いように考えます。
    突き詰めるうちにぼろが出てくるかを見極めたり、打算的な経営判断を戒めるなど、両者のぶつかりあいのなかで
    良いものは生まれてくるものと思います。
    結局最後はその点に信念を持って行動している方が選ばれることが大事なのだと思います。
    提案がなんでもそのまま通ってしまうことも問題ですし、少しの障害により実行されないのも問題です。
    この件について、プロとはどういうものか、という一例を示しているのだと感じます。
    自身の仕事の中で、プロフェッショナルな行動とは?常に意識したい点です。

  • 社内で「プロフェッショナル」をテーマに討論会を開いています。
    そんな討論会の内容から不定期でシリーズ掲載したいと思います。


    人物紹介

    移植外科医 加藤友朗


    東京都出身の外科医。多臓器移植の分野で先駆者として知られる。
    現在、コロンビア大学医学部外科学教授およびコロンビア大学付属ニューヨーク・プレスバイテリアン病院肝小腸移植外科部長。


    1980年代年代後半から1990年代前半にかけてヨーロッパで開発された、
    APOLT(Auxiliary Partial Orthotopic Liver Transplantation、自己肝温存生体部分肝移植術)を初めて実用化した人物の一人として知られる。APOLTを使用した場合、免疫抑制剤の使用が不要になる。
    2008年3月、複雑に絡み付いた腫瘍を摘出する過程で6臓器の同時切除・再移植(自家移植)を初めて成功させた。


    現在多くの学会員であり、180本以上の論文を出版している。


    プロフェッショナル・エピソード


    A. 診察では、患者からの質問が出つくすまで切り上げることはしない。
    手術の内容やリスクについてとことん話し合い、お互いが納得して初めてスタートラインに
    立てるのだと加藤は考えている。

    B. 移植手術の山場は、臓器の血管を寸分違わず縫い合わせること。
    細心の注意をはらい細かく糸をかける必要がある。
    加藤の真骨頂はこの後の作業、小さな血のにじみのチェックである。
    わずかな出血でも痛みや回復の遅れにつながることがある為、
    加藤は出血箇所を徹底的に探し出し止血作業を行っていく。

    「止血してもその後の回復に影響しないかもしれない。
    でも、影響するかもしれないなら、やっぱり余計に時間を費やす方がいい」
    加藤は自分で満足できるまで、一切の妥協をせずしつこく作業を続ける。

    ※「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」より引用
    http://www.nhk.or.jp/professional/


    討論時の意見

    Aについて
    (肯定派)
    報酬にこだわっていない点が逆にプロ意識を感じる。
    (否定派)
    診療報酬の観点では、より多くの患者を診る方が効率が良いのではないか。
    プロこそ報酬にこだわるべきでは?

    Bについて
    (否定派)
    「余計に時間を費やす方がいい」外科手術こそ時間は早く終わらせなければいけない。
    工期短縮が叫ばれる昨今のシステム開発において単純にそう言えるか?
    ⇒テストに時間をかけるのは理想だが、現実的ではない。


    その他所感

    我々の環境では、”患者”が”ユーザ(OR顧客)” と置き換わる。
    患者が最も知りたいのは「リスク」と考えたとき、自分はユーザーへの説明の場で
    リスクをとことん話しあえるだろうか・・・。
    単純に、ユーザー要望はとことん取り入れるべきとはいえないはず。


    社長の意見

    確かに、システムの開発工期を短くすることが求められている。しかし、それは品質を落とすことにつながってはいけない。
    工期を短くする工夫をしなければならない。
    物理的に作る時間を短くするのはなかなか劇的には短くすることは難しい。
    しかし、お客様の要件を聞き出す作業はもっともっと短く精度を良くすることは可能だと考えます。
    まさしく、「診察では、患者からの質問が出つくすまで切り上げることはしない。」
    お客様の考えの掘り起こしが足りないことが、プロジェクト全体の工期をのばしていると思う。
    これは色々な工夫により劇的に短く、かつ品質をあげることは可能だと考えます。

   

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